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週刊 ダイヤモンドの保険特集号に、「保険会社の社員がこっそり入る超お得な保険を大公開!」という記事がありました。

そこで、プルデンシャル生命保険の「米国ドル建リタイアメント・インカム」という商品が紹介されていました。払い込んだ保険料に対する返戻率は140~160%になり、プルデンシャル生命の社員の9割が入っていると書かれていました。

早速この商品について調査しました。

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米国ドル建リタイアメント・インカムの特徴

この商品は、一言で言うと外貨建て個人年金保険もしくは養老保険のようなものであり、60歳等まで保険料をドル建てで支払い、60歳等から20年間等の確定年金、もしく10年等の保証付きの終身年金を受け取る仕組みです。60歳等の満期時に満期保険金として一括で一時金を受け取ることも可能です。

受取りは基本的には年金保険のような形式ですが、年金受取前の死亡・高度障害の場合は、死亡保険金または高度障害保険金が出ます。生命保険料控除の対象になります。

予定利率と実質利回り

米ドル建てであることから、予定利率は、年2.75%(年金開始後は年2.25%)と普通の年金保険よりは高めに設定されています。

しかし、予定利率は諸々の手数料を引いた後の積立金に対する利率であり、この利回りで資産が増えるわけではありません。

この商品の場合、付加保険料、為替手数料(交換レート:指定銀行のTTM+50銭)、年金開始日以後は受取年金額に対して1.0%を年金受取日の積立金より控除などの手数料がかかります。

ExcelのIRR関数で、ご契約例に掲載されていた「契約年齢30歳(男性)・保険料払込60歳満了・年金開始60歳・20年確定年金」で、実質利回り(内部収益率)を計算しました。この例では月払保険料445ドル、年金月額1,000ドルです。

実質利回り(内部収益率)は、1.61%でした。予定利率2.75%に騙されていはいけません。

1.61%だから定期預金より高いというセールスもあるかもしれませんが、長期間に渡る支払いの利回りが1.61%で固定されてしまいます。金利上昇・インフレに脆弱になります。インフレ率上昇・金利上昇があったら、実質的には元本割れになります。

現在は日本だけではなく、米国も空前の低金利です。この状況下で、低金利で超長期の固定利回りものを契約することは慎重になるべきだと思います。

また、ジブラルタ生命の信用リスクもあります。生保破綻時に保護されるのは責任準備金の90%に過ぎず、本来もらえるはずだった金額の90%ではありません。

また、中途解約のペナルティもあり、途中での解約返戻金は少なくなってしまうため、保険料支払いが難しくなってしまった場合は大損するリスクがあります。

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運用の成否は、為替レートの経緯次第

当然のことながら、米ドル建てで保険料を支払って積み立てて、米ドル建てで受け取るので、為替リスクがあります。

更なる注意点としては、最終的に契約時より円安になったとしても、保険料支払期間(積立て期間)と受取り期間の為替レートの動きによっては、損失を被る可能性があることです。

順調に円安が進んでも、最後に大幅な円高が来たら、大きく目減りしていしまいます。例えば、先程の例では、年5%ずつ順調に円安が進んで55歳の時に1ドル321円になったとしても、その後に5%ずつ円高になったら、最終的な実質利回りは0.89%になってしまいます。

ここはドルコスト平均法や積立投資と同様の弱点があり、最初上昇して最後下がるパターンに弱いです。逆に、最初はひたすら下落して、最後に急上昇するパターンがベストです。

最終的に円安になったとしても、その途中の為替レートの経緯によっては、大幅な為替差損になり得る点に注意が必要です。

米国ドル建リタイアメント・インカムは、お得ではない。

結論としては、「超お得」どころか全くお得ではなく、むしろ微妙な商品だと思います。私は100%確実に契約しませんし、お勧めもしません。

貯蓄型の保険に入りたいという方には「この商品よりは、生命保険料控除の範囲内で円建ての予定利率変動型の個人年金保険か、解約控除が少なくて解約が容易な個人年金共済を契約して、余った資金で米国債のラダー型ポートフォリオを組んだ方がいい」とアドバイスします。

こうすれば、保険の税制メリットを活かしつつ、金利上昇・インフレリスクをヘッジして、低コストで為替リスクをとって円安に備えることができます。保険料は月1万円程度に抑えられるので、中途解約リスクも抑制できます。

たぶん週刊誌の執筆者は「予定利率2.75%、戻り率140~160%」に釣られたのでしょう。しかし、ExcelのIRR関数で実質利回り(内部収益率)を計算することや、商品の特性とリスクを冷静に押さえることが重要です。

ジブラルタ生命の外貨建て一時払い終身保険については以下がまとまっています。

ジブラルタ生命保険の一時払終身保険(未来へヨーイどん!)を徹底分析!メリット・デメリットまとめ

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    2013.06.06 Thu l 保険 l コメント (11) トラックバック (0) l top
    コメント
    やっぱり保険って
    信用ならないというか、わざとわかりにくくつくってるとしか思えませんね!
    私は保険で貯蓄するっていうのは違和感あります。分けて考えたほうがすっきりすると思います。

    とうとう日経13000円割ってしまいましたね。そろそろ拾いに行こうかと思ってます^^
    2013.06.07 Fri l ビビ. URL l 編集
    いつも貴重な情報をありがとうございます。

    この件ですが、すでに契約してしまっている人の打ち手としてはどのようなやり方が考えられるでしょうか?解約は大損とご指摘もいただいている通りで、あとは払い済みにするくらいしか思い付かないのですが…
    お知恵があればぜひお願いします。
    2013.06.07 Fri l guapo. URL l 編集
    No title
    とてもわかりやすい解説、ありがとうございます。
    これからも、記事upを楽しみにしております。
    2013.06.07 Fri l けん. URL l 編集
    Re: やっぱり保険って
    > ビビ さん

    税制メリットは確かに美味しいんですけど、冷静に判断するのがいいと思います。外資系のナントカ生命が30年後も大丈夫かというと、AIGのようなことがあるかもしれませんし、なかなか普通の人に信用力の判断は難しいと思います。

    日本株、金曜に拾いました!
    2013.06.08 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    Re: タイトルなし
    > guapo さん

    嬉しいお言葉ありがとうございます。
    解約すると大幅にマイナスになってしまうので、継続しないとなると、おっしゃる通り払い済みしかないと思います。
    2013.06.08 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    Re: No title
    > けん さん

    嬉しいコメントありがとうございます!
    今後とも宜しくお願いします。
    2013.06.08 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    ご助言ありがとうございました!
    2013.06.11 Tue l guapo. URL l 編集
    Re: タイトルなし
    今後ともよろしくお願いします!
    2013.06.12 Wed l まつのすけ. URL l 編集
    No title
    同じ期間拘束されるならば、米国債ゼロクーポンが良いなぁと思いました。。
    2013.07.06 Sat l trk. URL l 編集
    Re: No title
    同感です!
    2013.07.07 Sun l まつのすけ. URL l 編集
    No title
    カード会社セミナーで騙されて長時間引き止められこの保険に加入してしまいました。昨年9月から月々1611ドルの保険料です、、、3年経過すれば払込保険料累計が払い済み保険を上回るのでそれまで待つべきか、それとも上回らなくても払い済みにできる段階に来たら払い済みにすべきか考えています、どうでしょう?このままずっと円高が続くような感じだし。別のFPは解約して米国国債等に投資すればいいといわれていますが、払い済みの方が損が少ないのかなと。
    2016.05.29 Sun l RE. URL l 編集
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