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Pearl river fire..

大手新聞のWebサイトに強烈なトンデモコラムがありました。あまり個人の意見を批判するのは好きではありません。しかし、内容があまりにもひどく、しかも嘘まで入っているので看過していられませんでした。

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形式的に破綻しなければよいわけではない。

ひどすぎるのは、山崎俊輔氏の以下のコラムです。

国の年金はそう簡単に破綻しない
http://www.nikkei.com/money/features/18.aspx?g=DGXNMSFK02024_02112012000000

『国の年金はそう簡単に破綻しない』とドヤ顔で語っていますが、年金は賦課方式なので、形式的に破綻しないのは当たり前です。無限に年金をカットして保険料アップすれば、形式的には破綻しようがありません。

保険会社が経営が苦しくなってきたら、保険料を無理やり上げて、給付を減らして、解約は拒否すれば、保険会社は破綻しないのと同じです。しかし、だから問題ないは馬鹿げています。形式的に破綻するか否かが重要なのではなく、今の若年層はほぼ払い損になることが大きな問題なわけです。

形式的に破綻しなければOKなら、日本の財政問題は存在しないことになります。ハイパーインフレを起こせば借金は棒引きになるため、形式的にデフォルトはしません。しかし、そうなると国民の生活はハチャメチャになるため、問題があるのと同じです。

公的年金は形だけあればよいのではなく、実質的に意味のある制度にする必要があり、「いよいよヤバくなったら、年金カットで保険料アップすれば破綻しないからいいお!」という主張は、愚劣極まりません。


厚生労働省が出しているデータを分析する能がないFP

更に氏の話は続きます。

『「年金積立金がX年で空っぽになるから破綻するのでは?」と言う人もいますが、そもそも年金積立金を100兆円ためられている国は世界にほとんどありません。税収が2カ月ゼロになると年金が払えない、というような先進国もたくさんあるほどです。むしろ年金積立金をここまでためられたことで、団塊世代が大量に年金生活者になってもバッファーが生まれましたし、年金改正が遅れても何とかやりくりができているのが本当の姿です。』

「年金積立金がX年で空っぽになるから破綻するのでは?」という答えに何も答えてなく、空虚な戯言でスペースを埋めています。それはともかくとして、この御仁は、厚生労働省が出している年金の財政のデータを何も見ていないのが明らかです。

厚生労働省年金局数理課の「平成21年度財政検証結果レポート 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(詳細版)をみると、「過去期間に係る給付」が割引現在値で950兆円あり、「過去期間に係る国庫負担」が250兆円です。

したがって、厚生年金と国民年金が本来保有していなければならない積立金はその差額の700兆円です。しかし、その時点で既に150兆円しかなく、550兆円が不足しています。膨大な積立金が不足している状況です。しかも、積立金は伸びているどころか、既にピークアウトして減少しています。

550兆円の積立金が不足しているにもかかわらず、「年金積立金をここまでためられた」とご神託を垂れ流しているのは荒唐無稽です。まるで将軍様に媚びを売る喜び組のような言論です。

しかも年金の前提は、かなりハチャメチャです。

・運用利回りが4.1%と高く設定
・賃金の上昇率は長年に渡ってマイナスの期間が多いのに、2.5%に設定
・労働率では老人や女性の8割程度が働き出すという設定
・国民年金の納付率は80%に回復すると設定

結論ありきの数字づくりであり、もはや妄想の領域に入っていることが条件になっています。普通の常識があるビジネスパーソンがこの前提を聞いたら、「うーむ」となるのが普通です。

山崎俊輔氏はこういう年金の前提すら知らないか、あるいはこれの問題性を理解する力に欠けている真性かのどちらかです。

年金収支が支払い超過が続いており、このままでは、2030年前に公的年金積立金(GPIF)の残高は消滅する可能性があると予測する証券会社も出ています。


今はこれだけもらえる。だから未来永劫素晴らしいという愚論

氏のトンデモ論はとどまることを知りません。

普通の会社員世帯でも夫婦で年金6000万円もらえる
http://www.nikkei.com/money/features/18.aspx?g=DGXNMSFK0903J_09112012000000

「年金はすげーお」ということを強調していますが、それはあくまで今現在の受給者の話です。今65歳の人に対する話としては間違っていません。しかし、今の20~40代前半くらいの人は、将来、自分が65歳になった時にその給付水準が維持される保証はまるでありません。

前述のとおり、年金の制度設計はほぼあり得ない前提になっていること、既に膨大な積立金が不足していることに鑑みると、将来は年金を減額するか保険料を引き上げるかのどちらしかありません。そして、それに対する歯止めはありません。人々がそう考えるから、国民年金の未払いが増えているのです。


挙句の果てには大嘘をついているFP

しかも、山崎俊輔氏は、大嘘をついています。

「子どもがいない老齢者は生活保護が何十万円ももらえることはありません。多くもらえても国民年金と同額程度にとどまります」という記述は完璧な嘘です。

国民年金の満額受給額は現時点では約6万6000円ですが、生活保護の単身世帯の基準額は約13万円です。生活保護の方が2倍近く多いです。しかも、生活保護は水道代や医療費などが免除されますので、圧倒的に生活保護の方が多いです。

「AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー」「退職金・企業年金制度と投資教育が専門」でこれはさすがにヤバイのではないでしょうか。

他のコラムも突っ込みどころがありすぎて、氏への突っ込みのエントリーが一週間くらい続いてしまいそうですが、このくらいにしておきます。ここまで尋常ではない破滅的クオリティの見解を、隠すことなく盛大に披露しているFPを見ると、呆れるのを通り越して言葉を失って絶句せざるを得ないというのが、率直な感想です。

今の仕組みを前提に収支を揃えるためには、給付のカット、支給開始年齢の引き上げ、保険料アップなどをするしかありません。保険料アップには限界があるので、給付のカット・支給開始年齢の引き上げは高い確率で発生するでしょう。

今の20代以下の若年層の心構えとしては、年金の支給開始年齢が75歳になり、給付水準は今よりカットされることを想定した方が無難でしょう。

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    2012.12.04 Tue l 経済・社会・金融動向 l コメント (2) トラックバック (0) l top
    コメント
    ひえー
    楽天証券で定期的にレポートを配信している方ですね。
    2012.12.05 Wed l チェキ. URL l 編集
    Re: ひえー
    楽天証券でレポート書いてるんですね!今回初めて目にしました。そんなに露出しているとは意外です。
    2012.12.05 Wed l まつのすけ. URL l 編集
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