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マトリクス

「2~3%のインフレになったら、雇用は拡大して給料はアップして経済成長して素晴らしいことになる。財政ファイナンスだろうが何だろうが、とにかくインフレにすべき」という意見が根強くあります。これは正しいのでしょうか?

結論から言うと、上表のようにインフレには好景気と不景気の場合があると思います。

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好景気→インフレであり、逆ではない。

好景気・経済成長にはインフレが伴います。また、不景気にはデフレが伴います。したがって、インフレになったら全てが上手くいくと考える気持ちはわかります。

しかし、「好景気→インフレ」という因果関係はありますが、「インフレ→好景気」という因果関係はありません。「スタグフレーション」というインフレだが不景気・経済低迷の状況が存在します。

5万円の財布を持てば年収1000万円になる」という奇怪な説と似ています。年収が高くてお金に余裕があるから高い財布を持つのであって、高い財布を持つから年収が上がるわけではありません。

1970~80年代前半には多くの国でインフレ・不景気の状況が起きました。直近ではここ3年ほどのイギリスがまさにスタグフレーションとなっています。

イギリスのインフレ率(年平均値)は、2010年は約3.43%、2011年は約4.45%であり、2012年は約2.73%が予想されています。

インフレになったら全てが上手くいき、雇用も拡大して経済成長するのであれば、2.7~4.5%のイギリスはまさにこの世の春を謳歌していなければなりません。ではイギリスはどういう状況でしょうか?

イングランドの若者、100万人超(5人に1人)がニート
英暴動がリバプールなど地方に拡大、若者の高失業率も要因に

こういう状況なわけです。3%のインフレで雇用が回復するなら、イギリスの若者の5人に1人がなぜニートなのでしょうか。

経済成長で見ても、インフレ率が最も高いイギリスが最も経済成長しているわけではありません。まちまちです。

インフレ率(年平均値)の推移(2007~2011年) - 世界経済のネタ帳


実質経済成長率の推移(2007~2011年) - 世界経済のネタ帳

※出典
IMF - World Economic Outlook Databases (2012年10月版)
http://www.imf.org/external/ns/cs.aspx?id=28


財政ファイナンスは避けるべき

とにかくインフレと円安にならないと困る立場の人が、マネタイゼーションとか財政ファイナンスすらOKと言うのはわかります。住宅業界が「住宅ローン減税とかエコポイント導入してニャ」と言うのと同じです。

しかし、それはいつか来た道となってしまう気がします。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があります。インフレには良いインフレと悪いインフレがあり、スタグフレーションは最低最悪の状況である以上、財政ファイナンス等の手段で無理やりインフレ率を上げるのは、やはり望ましくないと思います。

全知全能の中央銀行が思うがままに経済を操作可能だというのは、全知全能の指導者が計画経済によって経済を操作可能という共産主義に近いものを感じます。

もちろん、大胆な金融緩和を否定する趣旨ではありません。マーケットで価格が壊れてリスクプレミアムが不条理に拡大し、経済に悪影響が出てしまっている資産の買入れ、あるいは価格を押し上げることで経済への好影響が期待できる資産の買入れ、流動性危機時の対応などは大胆に採るべきでしょう。また、健全な手段で期待インフレを上げる方策はないかを模索していくことは重要ですね。

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    2012.11.27 Tue l 経済・社会・金融動向 l コメント (3) トラックバック (0) l top
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