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■モルガンスタンレーMUFJから日本国債に最強に強気のレポートが出ていました。レポートの主要メッセージは以下の通りです。

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・通貨発行権を持たないユーロ圏諸国と日本を同列に論じることは誤り
・国内民間貯蓄投資バランスや経常黒字の頑健性において日本はユニーク
・日本の場合、JGB(日本国債)発行と政府支出は自己完結プロセスであり、このプロセスが完了すると、民間の各部門のバランスシートが増大するが、資金は仲介的な役割しか果たさない。
・日本政府のファイナンス構造は持続的であり、財政懸念を理由としたJGBのショート戦略は不毛である。
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「日本国債のショート戦略は不毛」というのは、日本人的には嬉しいですね(^^)
萌えてしまいます。

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■「日本国債は危ない」という定説に対して次々に異論を唱えています。主な結論は以下の通りでした。細かい理由はレポートをご覧ください。

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・高齢化で貯蓄率低下し、家計部門が財政赤字のファイナンスの担い手でなくなるという常識は疑ってかかる必要がある。高齢化のスピードが2000年代初頭の貯蓄率の急低下に見合うペースで加速した証拠はない。この時期の急低下は統計上の問題もある。

2002年度以降の貯蓄率は安定しており、足元ではむしろ上昇している。家計貯蓄率の先行きを高齢化の影響だけで論じるのはミスリーディングである。高齢化による趨勢的な貯蓄率の低下という定説とは相容れない状況になる。

・企業の負債圧縮の動きが終盤期になっているという見解には特段の根拠はない。企業部門はGDP比150%近い負債圧縮余地を依然として抱えている。日本国債発行と政府支出は自己完結的なプロセスである。銀行の預貸ギャップはJGB増発の結果であり、銀行によるJGB購入余力を計るものではない。

・円高による製造業の海外移転に伴い、輸出が趨勢的に減少するとの定説は誤りである。日本企業が生産拠点を海外に移す動きと日本の輸出との間に明確な負の相関は観察されない。むしろ長い期間で見ると、企業の海外生産比率が高まるとともに輸出額も増加している。日本は資本財や原材料の供給で高い競争力を有している。

・日本が過去の経常黒字の結果として蓄積してきた対外純資産は極めて大きく、中国・ドイツ・スイスなどを大きく引き離している。対外資産の運用利回りは海外の長期金利低下の影響を受けて低下する可能性はある。ただし、それは米国のイールドカーブの形状が中長期的に続くことを前提とする。

仮に続いたとしても、中長期的には米国以外の証券市場への投資や運用対象の多様化を図ることで、対外資産の利回りを維持する試みが官民双方でなされると考えるのが自然。貿易収支の赤字化でも経常収支の赤字転落はない。

・不換通貨システムと変動相場制の下で、政府部門が通貨発行権を持つ日本の場合、以下3点が該当する。
(1)JGB発行に基づく政府支出が民間部門の超過貯蓄(貯蓄投資差額)を創り出し、その超過貯蓄がJGBの購入原資になるという自己完結プロセスが確立されている。民間部門のJGB購入原資はなくならない。

(2)「家計部門の金融資産がJGBの国内消化の上限」との見方は誤りである。国債が発行された分だけ、民間部門全体の純金融資産が増えるため、民間部門の一部にすぎない家計の金融資産をJGBの国内消化限度に関連付けるのは論理的ではない。

(3)「民間の資金需要低下で預貸ギャップが増えているため、国債への需要が保たれている」との見方も誤りである。預貸ギャップ増加の主因は国債増発であり、資金需要とは無関係である。資金需要の増加に伴い貸出が増加したとしても、貸出は最終的に同額の預金を創り出すため、結果的に預貸ギャップに大きな影響は与えない。


・格付会社をはじめとして、日本財政の比較対象としてギリシャやイタリアを挙げる市場参加者も少なくないが、金融システムの違いを考慮せずに、対GDP政府債務率等の指標に基づいて単純比較することは適切ではない。

・極端な場合、銀行はキャッシュしか保有せず、JGBへの追加需要が枯渇すれば政府が資金調達できなくなるのではないかとの懸念もある。しかし、この場合については、貨幣の創造と日銀準備金に対する付利払いで財政支出のファンディングが可能である。
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JGB発行に基づく政府支出が民間部門の超過貯蓄(貯蓄投資差額)を生み、その超過貯蓄がJGBの購入原資になるという自己完結プロセスが、国債消化を助けているという見解は、国債強気派がよく提唱しています。これを維持するためは、海外への資本逃避がないことが重要ですね。

日本の輸出の競争力にも、レポートの通り悲観しすぎる必要はないか。一般的にイメージされやすいのは、家電や自動車などの消費財であり、この分野はソニーやシャープに象徴されるように新興国の追い上げで苦しんでいます。ただ、日本輸出全体に占めるシェアは10数%とそれ程大きくありません。

米国債の利回りが昨年から急激に低下してきており、それが所得収支に影響が出るのが懸念点ですね。アメリカはインフレ率よりも長期金利が低いという「金融抑圧」の状態にあります。巨額の対外純資産の運用利回り維持が日本財政にとって非常に重要な課題。

過去10年間のデータでは、所得収支の黒字のうち、証券投資収益(米国債などの有価証券の利息など)は約80%から約70%に下落していますが、直接投資収益は約10%から約25%に上昇しています。日本の所得黒字において、直接投資の収益がシェアを広げています。対外直接投資で高い利回りを上げるようにするのが、今後も重要ですね。


■モルスタMUFJの推奨投資は、以上を踏まえて、以下の通りとなっていました。

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・国債の国内消化の原資枯渇、預貸ギャップ縮小、イールドカーブの特定のセクターの需要減退などの需給悪化懸念で日本国債金利が上昇する局面は、いずれも押し目買いを推奨。

・国債増発は今後なお注目度の高いテーマであるが、原資枯渇などの懸念でJGB金利が上昇すれば、JGB買いを推奨

・マクロ経済改善とは関係ない一時的な資金需要の高まり(例えば震災復興の銀行融資等)を理由に預貸ギャップ縮小とJGB需給悪化が懸念され、JGB金利が上昇したら、JGB買いを推奨。

・ユーロ圏各国との比較で日本財政に関わる過剰な懸念が見られ、JGB金利が急上昇したら、JGB買いを推奨。

・生保による長期化需要減退などの懸念で超長期債が大きく売られることがあれば、超長期債の買いを推奨

・ホームバイアスの低下が国債危機につながる可能性は低い。ゆうちょ銀行・GPIF・主要機関投資家などの円建て資産から外貨資産へのシフトもJGBへの不安材料とされているが、こうした不安で金利が上昇したら、JGB買いを推奨

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今後金利が上昇した場合は、JGB買い推奨のオンパレードw



■ただ、リスク要因も挙げられていました。JGBにとっての最大のリスク要因としては、ハイパーインフレと金融規制の変更が挙げられています。

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(1)過去のハイパーインフレの例では、戦争や政治混迷などの極端なイベントで経済の生産能力が著しく低下したケースが多い。ハイパーインフレによって、政府債務の増加ペースと実物経済の生産のバランスが崩れた場合は危険。

(2)国内金融機関でもJGB保有にリスクウエイトが要求されるような新規制の導入。規制内容によっては、想像を超えたネガティブ・インパクトがある。追加資本コストと同等のリスク・プレミアムが国債金利に織り込まれる可能性が高い。ただ、この規制リスクはJGB市場に限るものではない。日本以外の政府や投資家からも強く反発されるのは必死で、実現する可能性は低い。
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日本国債の最大のリスクとしては、国内金融機関の日本国債保有にリスクウエイトが要求されるような新規制の導入が挙げられています。確かにそうでしょうね。ただ、こういう規制が導入されたら、日本以外の先進国、特に欧州もテラヤバスなので、大丈夫だとは思います。こんな規制が導入されたら、欧州は爆発大炎上必死です。さすがに大いなる自爆となるような規制の導入はないと思いますが・・・。

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    2012.04.24 Tue l 資産運用の考え方 l コメント (2) トラックバック (0) l top
    コメント
    No title
    もうちょっと景気が良くなって、
    株価とサムライ債と日本の金利が上がってくれたら、
    超長期債でPFを組んでみたいと、
    時折思ったりします。
    それが一番安全で、比較的高金利だと思うので。
    しかし、そんな日がいつ来てくれるかなあ・・・・・・(^^)
    2012.04.25 Wed l mushoku2006. URL l 編集
    Re: No title
    それいいですよね!長期債や超長期債でラダー型ポートを組んで、負債コストを賄えれば楽ですよね。生保や年金基金はみんなそう考えている気がします(^^)

    モルスタMUFJのレポートもマクロ経済の改善による金利上昇、「良い金利上昇」は否定してなく、景気が良くなってマイルドな株高と金利高になって、税収も上向いてみんなハッピーという展開がベストですね。
    2012.04.25 Wed l まつのすけ. URL l 編集
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