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■東電が企業向け電気料金と家庭向け電気料金を値上げする意向です。企業向け電気料金は平均で約17%値上げすると発表されました。しかし、この根拠が不明瞭であり、合理化以前の2008年のデータを利用していることが判明しました。

政府の原子力損害賠償支援機構の運営委員らが東電幹部を呼び出し、平均17%値上げの根拠を求めると、東電幹部は2008年の料金原価の数字に基づき説明したそうです。

委員が「なぜ古い数字を使ったのか。これまでの合理化策が含まれていない」と主張すると、東電幹部は沈黙したといいます。東電の西沢社長は「(値上げは)事業者の権利だ」と開き直っています。

滅茶苦茶のやりたい放題であり、漫才ないしギャグ漫画の領域に達しています。

東電に対しては、政財界から批判が出ています。

・経済同友会 長谷川閑史代表幹事
値上げの算定根拠や合理化目標を説明すべき」 「実質的に選択肢はない」 「コストが増えても価格に転嫁することは極めて困難だ」

・東京都
「値上げの根拠である燃料費などの負担増分6800億円の詳細や賠償スキームと合わせた経営合理化の具体的内容が示されていない
東電が地域独占状態にあり、価格決定に需要者側の意向が反映されないことは弊害
「経営合理化の具体的な内容、中長期的な方向性などについて、明確な情報開示を求める」「都は大口需要家、都市経営に責任を持つ行政主体、主要株主としてあらゆる機会を捉えて行動していく」

・猪瀬直樹 東京都都副知事
再三、説明を求めたが納得いく対応がない」「東電は殿様商売でいばっている」
「東電は経営合理化で来年度1934億円を削減すると言うが、家賃が高い子会社事務所の移転や、自社ビルの売却だけでも約100億円捻出できる。値上げにハイハイ応じるわけにはいかない」

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■これまで電気料金がリーズナブルだったのなら、値上げは止むを得ないかもしれません。しかし、全くそんなことはなく、電気料金は世界標準の約2倍の約23円/kWh前後と非常に高価です。

このような状況で更に値上げとなると、企業の業績と家計に更なる打撃を与えることになります。SMBC日興証券の試算によると、今回の東電の値上げは、全上場企業の経常利益を約1.5%押し下げる要因になり、東電管内の事業所の経常利益は約3%程度減少する可能性があるそうです。

もちろん現在の情勢では、電気料金の値上げは避けられないのは確かです。しかし、値上げの前提として、一般民間企業と同じレベルの合理化は最低限必要でしょう。

基本給や扶養手当や住宅手当などをカットしろとは言いません。東電は11年冬季はしっかりとボーナスを出しており、確定給付型の企業年金があります。ボーナスの全面カットと企業年金のカットも求めたいところですが、それはいいとしましょう。

しかし、以下のような費用を原価に乗せているのは論外の外です。
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年8.5%のリフレッシュ財形貯蓄の利子
年3.5%の財形貯蓄の利子
健康保険料の70%会社負担
社員専用の飲食施設「東友クラブ」
接待用飲食施設「明石倶楽部」
都内最大級のグラウンド、保養所、スポーツチーム、楽団、サークル費用・・・
(キリがないので以下略)
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これを維持して「徹底的な合理化を織り込んだ上でも賄いきれない」のですか?


■産業界の反発は強く、東電に愛想をつかして、一部の企業は自家発電の増設や独立系電力事業者への乗り換えで「さよなら東電」を検討し始めました。

富士重は群馬の工場で自家発電設備を導入しており、使用電力の半分を賄っているそうです。今夏には本工場にも導入するそうです。ホンダも埼玉県に建設中の新工場に大規模な発電設備を設置し、電炉大手の東京製鉄は生産の一部を西日本に移管することを検討するそうです。

化粧品のコーセーは主力の群馬工場に、7月頃をめどに大規模な自家発電装置を導入し、ピークの使用電力の約半分を賄うそうです。今回の値上げで東電からの購入より自家発電の方が割安になると言っています。

東電の電気代より自家発電のほうが安いのは驚異的です。このような高コストの電力会社って一体全体何なのか存在意義が問われるところです。

東京都品川区にある城南信用金庫は、今年初めに東京電力との契約を打ち切り、PPS(特定規模電気事業者)の最大手であるエネットに切り替えました。東電からPPSへの切り替えで約5.5%のコストダウンになる見込みとのことです。

PPSは、独自の発電所で作った電気を販売する新規参入事業者であり、現在は一般家庭への販売はできず、50キロワット以上の需要家に対してのみ、小売が認められています。電力会社の送電線を使うため安定供給に関する問題はありません。
行政組織でも東電離れの動きが出ています。

東京西部にある立川市では、市内の立川競輪場の電気の購入先をPPSに切り替えて、電気料金は26.5%減と大幅に安くなったそうです。その他、横浜市、千葉市、町田市などでも導入が進んでおり、世田谷区や国立市も検討中のようです。


■東電からPPSに切り替えるだけで電気代が安くなるのは、東電とPPSのコスト構造に大きな違いがあるのでしょう。高い給与・確定給付企業年金、鬼のような超絶福利厚生費、訳が分からないコストが乗っかっている東電に対して、PPSの運営コストは一般民間企業と同じレベルだと思われます。

東京電力の資産査定や経営見直しを検討している政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の調査で、東電の電気料金の算定根拠となるさまざまな見積もりについて、過去10年間分を調査したところ、実際にかかる経費より約6186億円も過剰に計上されていたことが、昨年に判明しています。修繕費などが約1割水増しされていた事実も指摘されており、やりたい放題になっています。

また、天然ガスの国際的標準価格と比べると、日本の電力会社の天然ガスの購入料金はかなり高いという指摘も出ています。日本企業が従来から石油価格とリンクした長期契約を結んできたことが理由とされていますが、根源的な理由は総括原価方式にあるのでしょう。

電気料金は電気事業法に基づき、社員の福利厚生費から慶弔費まであらゆる経費を転嫁して決める「総括原価方式」が適用されており、経費が増えれば自動的に電気料金を上げられる仕組みです。

天然ガスの料金が上がれば、その分だけ「燃料費調整」で値段を上げ、価格を上げられるわけです。それでは輸出国側と交渉し、何とか調達価格を抑えようという気にならないのは自明の理です。

この制度的保護と体質にメスを入れない限り、企業と国民はこの先ずっと割高な電気代を払わされ続けることになります。 政府の第三者委員会は「料金原価はさらに引き下げられる」と指摘しています。

先日、電力制度改革を集中的に協議するため、経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会」の総合部会の下に「電力システム改革専門委員会」を設置すると発表されました。 発送電分離など電力制度改革の具体策を協議する予定とされています。

顧客に選択肢がなくて電気料金は東電の言い値で決まり、値上げ要求をのむしかない現状はやはり変える必要があるでしょう。料金体系の抜本的見直しと電力自由化を期待します。

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    2012.01.31 Tue l 経済・社会・金融動向 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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