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モルガン・スタンレーMUFJのレポートで、日本の財政の持続可能性について、楽観的な内容が書かれていました。以下、同レポートの要約です。

<結論>
コンセンサスに反して、日本の経常黒字は長期的に持続可能である。これはその裏づけとなる国内民間部門の貯蓄投資差額(貯蓄>投資)も維持可能であり、日本政府の赤字のファイナスが国内で完結する構造も持続可能であることを意味する。

日本の経常収支の恒常的な赤字化には、貿易サービス収支の大幅な赤字化と対外純資産の平均収益率の大幅低下の二つが起こる必要があり、日本の経常黒字は一般的に考えられている以上に頑健である。

経常黒字の累積効果による恒常的な円高バイアスは続き、それは一般物価にデフレ傾向をもたらすことで、国内民間部門の貯蓄投資差額(貯蓄>投資)の持続性を強める方向に作用する。

経常黒字は長期的に持続し、長期金利は低位安定し、円高バイアスは長期化する。

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<貿易収支について>
日本の輸出が伸び悩んでいるというのは誤解であり、輸出はITバブル崩壊や08~09年の世界同時不況以外ではほぼ右肩上がりのトレンド。

日本は資本財(機械類・輸送機器など)や工業用原料(化学・鉄鋼・非鉄金属など)が輸出の8割近くを占めており、かつ高い競争力を有している。この分野の優位性は簡単に崩れる性質のものではない。

一般的にイメージされがちなのは、自動車や家電などの耐久消費財の分野であり、ここは新興国の追い上げで苦しんでいるが、シェアは15%程度に低下している。

一般的なイメージに反して、日本企業が生産拠点を海外に移す動きと日本の輸出との間には明確な負の関係はない。また、日本の輸出の主力である資本財や生産財には、海外への生産拠点の完全移転が割に合わないものも多い。

仮に原発が全停止したとしたとしても、当面は貿易収支に大きなマイナスだが、恒常的に大幅な赤字になる可能性は低い。エネルギー価格が大きく上昇しなければ、貿易収支はほぼ均衡する程度にとどまる。


<所得収支について>
250兆円を超える対外純資産からの対価は安定的で、所得収支の黒字の基調は極めて頑健である。中国・ドイツ・スイスなどを抑えて、日本は世界一の対外純資産を保有している。対外純資産は経常収支が赤字化しない限り今後も増加し続ける。

所得収支の受取側はインカムゲイン、支払い側は配当支払いがメインで、所得収支は構造的に景気循環に対して中立的。

日本は「成熟した債権国」に移行する段階であり、「債権取崩し国」への以降は当面起こらない。起こるにしても極めてスローペース。


<高齢化の民間部門への影響・政府債務残高について>
高齢化によって家計部門の貯蓄投資差額は悪化するとのコンセンサスに反し、2007年をボトムにここ数年は貯蓄率はむしろ上昇傾向。社会保障制度の持続性に対する不信と将来不安から、家計部門は貯蓄に励んでおり、その傾向は続くと推測される。また、定年退職後も、多くの高齢者が引き続き就業している。

企業部門の貯蓄はここ20年間上昇傾向であり、今後も安定的に新たな貯蓄を生み出す見通しである。

日本が過去の経常収支黒字の結果として蓄積してきた対外純資産は極めて大きく、その影響は大きい。政府債務の対GDP比率の高さにかかわらず、近い将来のギリシャ化は起こりえない。政府債務残高が家計の金融資産残高に接近しているから、政府債務は持続的でないとの論調は誤りである。政府債務の臨界点として、政府債務のGDP比率や家計の金融資産残高を想定するのはあまり意味のない議論である。

日本企業としては、円高を所与として、割安になった海外の権益や資源を買い叩くなど、円高のメリットを活かす努力も重要。


■突っ込みどころや少し論拠が弱いという点もありますが、一般論とは違う角度の意見を考慮するのは重要だと思います。

日本経済新聞と日経マネーと日経ヴェリタスを読んで、それを鵜呑みにしていると、日本破綻に賭けたポジションをとりがちです。今は「日本の財政は危機的、日本国債はバブルだ」というのが多数派です。

もちろん素直に考えると、日本の財政の持続可能性に楽観的になれる状況ではなく、土俵際に追い詰められる前に、成長率上昇や歳入・歳出の見直しなどの政策を講じるのは重要でしょう。

しかし、「果たしてそれは正しいのか。ほとんどの人がバブルだと言っているバブルはあるのか」という視点から、物事を検討してみるのも有意義でしょう。

将来あり得る状況を想定してそれに備えるのは大いに結構ですが、あまりに早く備えすぎるとかえって損かもしれません。個人的には、経常収支が赤字化し、諸外国に比べてインフレ率が上昇するまで待っても遅くないと思います。

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    2011.10.24 Mon l 資産運用の考え方 l コメント (6) トラックバック (0) l top
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