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■ドル円が過去最高の円高を記録し、一部で為替介入すべきとの声が再浮上してきました。さすがにここ1~2年の日本やスイスの為替介入を見て、そう上手くはいかないことが認識されてきており、昨年までの大合唱に比べるとトーンは弱いですが、依然として待望論があります。

私は為替介入の効果は一時的なものにとどまり、費用対効果の観点からは妥当な政策ではないと思います。

統計物理学・経済物理学の第一人者である高安秀樹氏の著書(経済物理学の発見においては、「1兆円の為替介入を行うと、およそ1時間の間に為替レートが1円程度動く。介入の後は、揺らぎが多少大きくなることを除くと、ほぼ元通りの値動きとなり、介入の効果は一時的でしかない」旨の記述があります。

今は当時と比べて、為替市場の出来高はさらに増加しているので、介入の効果はより一層少なくなっているでしょう。

為替市場の出来高は1日で400兆円とも言われており、圧倒的なボリュームがあります。

もちろん毎日のように10兆20兆といった巨額で介入していたら、確実に効果は出ます。しかし、そのようなクレイジー介入は政治的に不可能です。

4~5兆円の介入では、一時的に効果は出ますが、時間の経過とともに元に戻り、為替介入でその流れを変えることは難しいと思います。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長の佐々木融氏のお話を紹介します。佐々木氏は元日銀職員の方で、1990年代半ばに日銀で為替介入の担当者として、実際に円売り介入を実行した方です。

「ドル・円市場は巨大で、いかに日本政府といえども操作はできない。

介入のために市場に出した巨額の円売り注文が一瞬にして消えて行く恐怖を体験したら、この巨大な市場を操作しようとするのは、自然現象に逆らおうとすることとほぼ同義であると誰もが感じるであろう。」(週刊エコノミストから引用)

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■過去に為替介入を繰り返してきた結果が、現在外国為替資金特別会計に発生している40兆円とも言われている含み損失です。積立金を除くと、約20兆円弱のマイナスです。

大震災の復興費用以上の損失が、為替介入で発生しているわけです。

しかし、奇妙奇天烈・摩訶不思議なことに、日本政府がこれまでの為替介入で巨額の損失を抱えていることはあまり報道されません。

為替介入は、巨額の損失が出る頃にはその責任者は立場を退いており、責任を問えず結局のところは国民負担となります。

■円高の根底にある相対的低インフレ(相対的デフレ)を取り除かない限りは、長期的には円高トレンドが続く可能性が高いと思われます。

したがって、通貨高を抑制する政策対応をとるのであれば、為替介入ではなく、やはり金融緩和が王道だと思います。もちろん金融緩和の費用対効果の議論はあるかもしれませんが、ここではそれは考慮しません。以下はあくまで為替介入と金融緩和の相対的な話です。

為替介入で米国債を買うくらいであれば、そのお金で日本国債を買い入れたほうが、日本国民にとっては望ましいと思います。

日銀の包括緩和のスキームがあるので、それを拡充するのがいいでしょう。著名アナリストからは、基金を政府出資の特別目的会社に移す案などが出ています。為替介入で4.5兆円使うのではなく、日本国債・社債・ETFなどを4.5兆円買い入れるわけです。

もちろん、この政策については、「買い入れた資産の価格が減少したら、最終的に納税者負担となる」、「恩恵を受ける企業にバラつきが出て不公平」といった反対意見もあるでしょう。

しかし、損失が発生した場合に最終的に納税者負担となるのは、為替介入も同じです。また、為替介入も恩恵を受ける企業・受けない企業があり、不公平な政策です。

ただし、国債購入アップと財政支出アップを露骨にリンクさせると、事実上の日銀の国債引受になってしまいます。

円安にはなるでしょうが、財政面の規律・市場の信任が失われる危険があり、リスクが高いでしょう。この点については、十分な留意が必要。

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    2011.08.25 Thu l 経済・社会・金融動向 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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