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■前回は、20~30代の年収がここ10年ほどで急速に低下していること、90%の女性・50%の男性が結婚相手に求める「年収400万以上」の条件を満たす人が少なくなっていること、それが少子化・非婚化に影響していると思われることについて、述べました。

では今回はその要因は何かについてまとめてみます。結論から言うと、グローバル化、IT化、日本企業の国際競争力の低下が要因だと思いました。

■1980年代末の冷戦終結後、資本主義経済の中にほとんど入っていなかった旧共産圏諸国が、世界経済の枠組みの中に入ることとなりました。それを契機に、物理的な国境の意義が低下する「グローバル化」が進行しました。

低賃金の労働力が大挙として世界経済に入ってきたことにより、世界的な供給能力は大きく拡大し、需給関係は緩み、物価水準が下落しがちな体質になりました。

つまり、経済のグローバル化により、あらゆる価格が一番安い国の価格に影響されて、一物一家に収斂していく流れにより、先進国経済に価格下落の波が押し寄せました。

また、各国の賃金などの生産要素の価格も、世界的に一定の水準に収斂する動きが強まり、賃金水準が高い日本においては、賃金水準に下落圧力がかかりました。

21世紀に入ってからは、IT化が急速に進行し、海外とのコミュニケーションコスト・海外への進出コストが格段に低下し、企業の世界進出の流れが加速しました。その結果、グローバル化・世界のフラット化のスピードが加速しました。

このようなグローバル経済下の企業間の競争も、グローバルな規模で価格収斂をもたらし、先進国での賃金低下をもたらす要因のひとつとなりました。

以上のような経済のグローバル化・IT化は、良いか否か・好むか否かは別問題として、事実としては認識せざるを得ないところです。

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■また、グローバル化・IT化により、情報収集コストが低下し、海外投資が容易になり、世界的に国際分散投資が進んでいます。

これに伴い、投資家が要求するリターン(益利回り)も、世界的にひとつの水準に収斂するようになってきています。益利回りの逆数であるPERが、世界的に同一の水準に収斂してきています(概ね15~20倍程度)。

その結果として、日本の上場企業の経営者には、世界と同一水準の収益力が求められることになりました。その結果として、日本の賃金水準は国際的に見るとかなり高いレベルにあったことから、ここ10数年ほどで人件費の抑制が進んだものと思われます。

特に大企業において、売上高人件費率の低下が顕著。企業経営者は、利益構造の強化を図るため、労働分配率を低下させてきました。具体的には、賃金の低下、人員削減、正職員比率の低下などが進みました。

上場企業がこのようなコストカットに邁進したので、非上場企業も、上場企業との競争に勝ち抜くために、同様の策を講じる傾向があったと思います。

戦後最長の景気拡大期であった2002~2007年は、売上高営業利益率は上昇しましたが、売上高に占める人件費の比率は低下傾向でした。企業が生んだ付加価値の分配が変化したことを示しています。これが近年の内需の弱さの一因かもしれません。

また、人件費抑制の背景にあるのは、グローバル化・IT化に加えて、日本企業の国際競争力の低下もあると言われています。

日本企業の製品やサービスで、独自性や品質面で外国企業の追随を許さないものが乏しくなり、価格面での競争が強まってきました。

その結果、新興国の製品と価格面で競争するためには、日本国内の人件費をできる限り抑制せざるを得なくなったのかもしれません。

なお、賃金のフォーカスを当てて述べてきましたが、以上の話は物価一般(デフレの理由)にも当てはまる気がします。

■以上、賃金低下(デフレ)の大きな要因として、グローバル化・IT化・国際競争力の低下の3つの理由があることを述べました。

残念ですが、1980年代までの日本型経営の時代は、もう戻ってこない可能性が高いと思われます。換言すると、グローバル化・IT化の波の中で、日本企業が低い益利回り(高いPER)を維持することができなくなりました。

では今後どうなるかですが、3つの要因のうち、グローバル化・IT化は止まることはなく、むしろ加速していくでしょう。この潮流に逆らい、海外との経済アクセスを遮断して鎖国化するのは、“1億総貧困”へと向かう自爆であり、現実的ではありません。

したがって、少子化・非婚化・デフレを脱却するためには、日本企業の付加価値生産性・国際競争力の向上がキーポイントになってくると思います。企業の収益力・国際競争力が海外企業と同一レベルに近づくまでは、従業員の給料は頭打ちの傾向が続くと思われます。

国や社会的課題としては、それを達成するために、いかなる財政・金融政策、規制緩和、税制の整備を勧めるかが重要となってきますが、もちろん「言うは易し、行うは難し」であり、具体的にどのように実現するかは難しい問題です・・・。それについては、触れるとものすごく長くなってしまうので、ここでは省きます。

現実問題としては、私のような普通の個人としては、この課題に対して国レベルでいかなる対応を取るのかの議論は置いておいて、この激動の時代の現実をクールに認識し、自分や周囲の大切な人を守り抜くために、どのように行動するかを考える方が重要かもしれません。

長くなってきたので、ここで区切ります。次回に続きます。

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    2010.12.17 Fri l 家計・公的年金・社会保険 l コメント (4) トラックバック (0) l top
    コメント
    1. お久しぶりです

    いつも迷ったときだけコメントして申し訳なく思います。昔、MRI投資についてお伺いした「とーしろー」です。ブログはいつも参考にさせてもらっております。
    今私が迷っているのが、ソーシャルレンディングという新たな投資法です。
    あまりメジャーでないので不安ですが、仕組みは魅力的です。ハイリスクでしょうか・・それとも
    これから当たり前になってくる投資法なら、先駆けて投資していきたいとも思うのですが。
    2010.12.17 Fri l とーしろう. URL l 編集
    2. まだまだ頭打ち・・・

    僕は米国株にも投資してますが、

    P&G vs 花王とか、
    コカコーラ vs ヤクルトとか、
    ファイザー vs 武田とか、

    比較をしてみますと、
    なんて日本企業は収益が低いのだろう・・・
    と、溜息が出ます。

    現時点でもそうなんだから、
    まだまだ給料の頭打ちは続きそうですね・・・
    2010.12.18 Sat l あおい. URL l 編集
    3. Re:お久しぶりです

    >とーしろうさん

    ありがとうございます!ソーシャルレンディングについては、maneoが出た当初、自分も興味が出たので検討しました。

    検討した結果としては、貸す相手の情報があまりにも少ないため、利用はできないなと思いました。

    その当時は、信用スコア?のような相手の信用力をスコア化した数字と、借りる理由の作文くらいしか情報がなく、貸し出しの是非について、到底判断できないと感じました。

    例えるなら、ゲーセンの競馬ゲームで、オッズと過去の成績を見るだけで賭けるようなものだと思いました。

    ※今は情報が充実しているのかもしれません。


    結論としては、仕組みとしては面白いので、相手の信用力を判断できるだけの情報が、こちらに提供されるか否かで、投資の是非が決まってくると思います。

    2010.12.21 Tue l まつのすけ. URL l 編集
    4. Re:まだまだ頭打ち・・・

    >あおいさん

    日本企業は、PBRは世界有数なのですが、肝心の収益力が劣っている傾向がありますよね(涙)

    ヤクルトあたりは、新興国で人気があり、クールでイケてる飲み物というブランディングもできているという情報もあったりしますが、頑張ってほしいですね。

    そして、株主・経営者・従業員いずれも、収入が上がる展開となったら最高ですね。
    2010.12.21 Tue l まつのすけ. URL l 編集
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