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■週末定点データ ・日経平均

日付日経225PBR予想PER国債
2003/4/287,6081.29109.090.61%
2007/7/2918,2622.0719.531.95%
2009/3/107,0210.8168.081.30%
2010/10/229,4271.0915.810.89%

シカゴ日経平均先物12月限(円建て)の終値は 9445 (大証終値比+25)

・TOPIX

TOPIXPBR予想PER配当利回りNT倍率TS倍率
824.881.0415.922.13%11.43 0.70

・米国

 NY Dow30S&P500
終値11,132.561,183.08
予想PER(2010年末)13.3014.02
EPS837.0384.36
10年国債利回り2.56%2.56%
リスクプレミアム5%13,9511,406
リスクプレミアム6%11,9581,205
リスクプレミアム7%10,4631,054

■※前回までのエントリー

金融相場2.0?過剰流動性は何処へ行くか

2010年末~11年にかけて各アセットクラスにどう向き合うか(1)

10年末~11年の見通し(2) 先進国株式・REITについて

今日は新興国株式について述べます。

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■09年初来、最もパフォーマンスが良かったのは新興国株式でした。先進国がレガシーコストに苦しめられ、“先進国のJAL化・GM化”が進む中、ファンダメンタルも良好。

最も単純化すると、「株価=収益(EPS)×将来の見通し(PER)」です。新興国は、マーケット全体(インデックス)としては、経済成長とともに収益(EPS)が拡大していくことが見込まれるのが、魅力的。

2007年の中国株のように将来の見通し(PER)が過大評価されていない限りは、大きなパフォーマンスが期待できそうです。

では現在の新興国株は過大評価されているかというと、とある証券会社の予想PER(10/22時点)は、以下の通りとなっていました。

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

香港ハンセン指数 15.05

ハンセン中国企業株指数(H株) 13.98

中国上海総合指数 16.99

韓国総合株価指数 10.87

インドネシア ジャカルタ総合指数 17.54

インド ムンバイSENSEX30 19.21

ブラジル ボベスパ 13.29

ロシアRTS 8.14

トルコ イスタンブールナショナル100 12.12

南アフリカ全株 12.31

サウジアラビア タダウル全株 15.10

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

インドは少し過熱気味ですが、他の国はそれ程でもありませんね。ロシアの予想PERがやたらと低いのは、割安だからというわけではなく、脆弱な金融システムと、資源価格の不安定性(大手商社の予想PERが低いのと同じような理由)でしょう。

韓国の予想PERが低めなのは、ウォン安ミニバブルへの警戒があるのでしょうか。

予想PERは過熱化していません。ただ、ここの予想には、各国の成長が見込まれていますので、予想通りの成長ではなかった場合(予想より収益が少なかった場合)は、株価下落の可能性があります。

手元にあったデータ(※)で、主要国の名目GDPの推移予測を表とグラフにしてみました。

※IMF「World Economic Outlook(April 2009)」、ゴールドマンサックスの公開調査資料(2007年3月)

The Goal

The Goal

米国とBRICsが大きく成長し、2050年にはGDPは以下の順位になるという予測。

1.中国

2.米国

3.インド

4.ブラジル

5.ロシア

6.日本

日本もなんだかんだ言って、上位に踏みとどまると予想されています。

また、GSの最近のレポートでは、以下の可能性があるとされています。

(1)2030年までに中国の時価総額が米国を追い抜く

(2)新興国株式の時価総額は現在の14兆ドルから2020年には37兆ドル、2030年には80兆ドルまで増加

(3)世界の株式市場に占めるシェアは今の31%から44%(20年)、55%(30年)まで拡大

(4)流動性を考慮した MSCI AC World 指数におけるウエートも、現在の13%から19%(20年)、31%(30年)まで拡大

■以上のように素直にシンプルに考えると、新興国株でGO!となりますが、他方、慎重的に考えると、以下のような考え方もできます。

ゴールドマンサックスのような有力投資銀行のアナリストのレポートは、往々にして大きな影響を及ぼしますが、アナリストのレポートは、インパクトと利用価値が重視されがちという意見もあります。

すなわち、ボラティリティが少ないと投資銀行のトレーディング部門は儲からないため、アナリストの価値はいかにボラティリティ(価格変動)を生み出すかに左右され、サプライズと相場変動を作り出す方向でレポートが利用されがちという見解です。

また、大手投資銀行のレポートは、中小機関投資家が買い取り、自分達の商品の正当性を保証するために利用されがち。

「ゴールドマンサックスは○○と見ている」という前述のようなレポートは、社内の一部意見に過ぎません。同じ会社の他のアナリストは、メディアで報道される内容とは正反対のレポートを書いており、それが密かに出回っているケースもあるそうです。また、投資銀行のトレーダーが、社内のアナリストの見方に沿って取引してるわけではありません。

ブルームバーグの記事によると、ゴールドマンサックスは、2010年1~3月期の全営業日において、トレーディング収益がプラスだった一方で、同社の「2010年に勧めるトレーディング」の上位9件中、7件で損失が発生したそうです。

ゴールドマンサックスの推奨トレードに従った顧客が損する一方で、同社のトレーダーは、自社の推奨トレードを無視して、トレーディングで大幅な利益を上げていたことは、実に皮肉ですね。

「本当に儲かることは、他人には教えず、自分の財布で行う」という当たり前の経済原理かもしれません。

「プロ中のプロ(投資銀行、アクティブ運用機関、投資顧問など)に運用を任せれば上手く行く」という考え方が、幼い子供のように純粋無垢で危ういのが、如実に表れています。

有名な投資銀行のレポートに書かれていることに基づいて投資しても、必ずしも成功するとは限りません。

また、新興国は経済規模が小さく、国内資本の蓄積も薄いため、新興国市場は流動性の問題を抱えがちという懸念点もあります。

ブームになって世界中のリスクマネーが流入する時は、新興国の株価は大きく上昇します。しかし、市場規模が小さいため、リスクマネーが流出すると、総崩れになりがちで、ボラティリティが高い傾向があります。

この点は、コモディティマーケットと似たような傾向がある気がします。もちろん、今後の経済の動向によっては、この問題が解消していく可能性も十分あるでしょう。

また、現時点ではBRICsは成長を遂げると誰もが思っていますが、過去を振り返ると、20年後はどうなっているかわかりません。

1950年代、ビルマ(ミャンマー)とフィリピンは、「東アジアの未来の経済大国」と宣伝されたそうですが、その未来は遥か彼方。

60年代には、10%近い成長率だったブラジルが「新興国の期待の星」といわれたそうですが、それ以降は80年代初頭のマイナス成長やハイパーインフレによる通貨下落もあり、理論的に算出した外貨建ての株価はパフォーマンスが低い結果となりました。

今では笑い話ですが、70年代には、CIAがホワイトハウスに「投資率が高いソ連は10年後にアメリカを上回る経済大国になる」と警告したこともあったそうです。その後の顛末は言うまでもありませんね。

80年代後半には、日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれ、「あと○年で日本のGDPはアメリカを超える」という話が出回りました。今となっては、“悪い冗談”となってしまいました。諸外国では「日本化を懸念する」という言説が出る始末。

90年代には、アメリカが黄金の経済成長・株高となり、「ニュー・エコノミー」と呼ばれましたが、現在は、過去の高い経済成長は戻ってこない「ニュー・ノーマル」の状況になったと言われ、「日本化」が懸念されています。

かつて「デフレ脱却なんて簡単やんけ。ユーの政策はアフォジャマイカ」と日本を罵っていた、バーナンキ氏やクルーグマン氏が、深刻な懸念を抱きながら、あれこれ打開策を練って四苦八苦している状況。

(日本は全く笑えませんが・・・orz。“日本全体のJAL化”は何としても避けたいところですね。)

以上のように過去を振り返ると明らかなように、将来予測は本当に難しい。「中国が2030年に米国を超える」というのは、今は多くの人がそうなる可能性はあると考えているでしょうが、どうなるかはわかりません。20年先の予測は、「予測」というよりは「想像」という方が適切かもしれません。

■「では結局のところ今後どうするか」ですが、紆余曲折はあるでしょうが長い目で見れば新興国の成長をダイレクトに享受できるので、資産の一部を新興国株に振り分けるのは悪い選択肢ではないでしょう。

新興国株(MSCI Emerging)は新興国通貨建て・ドル建てでは高騰していますが、ここ2~3年の円高の影響で、円換算では、リーマン・ショック直前の2008年9月上旬と同じくらいです。

円が強くなっているおかげで、新興国株購入は、まだ間に合うかなという印象。自分はもうお腹一杯ですが、仮にノーポジションだとしたら、少し買うと思います。

問題はその比率ですが、市場規模・流動性の問題、ボラティリティの高さ、カントリーリスクなどを考慮すると、個人的には、先進国(日本含む):新興国=70:30~85:15くらいかなと思います。

流動性を考慮した MSCI AC World 指数に占める、新興国のウエートは、GSのレポートで、現在の13%から2020年に19%、30年に31%まで拡大すると予想されていますが、新興国を組み入れる場合は、MAXでそれを先取りするくらいのウエイト(30%くらい)かなあと。

もしくは、いわゆるバーベル・ポートフォリオも考えられます。例えば、70~80%を国内債券・流動資産にしておき、残りの20~30%を新興国株式に投資するようなやり方。

ポートフォリオの大部分は安全資産にしておき、その一部をリスクが高い資産に投資する方法も考えられます。

09年初来の相関係数は、MSCI Kokusai(円建て)と MSCI Emerging(円建て)で約0.9であり、日本以外の先進国株式と新興国株式の相関性は高い。

したがって、先進国に比べるとリスクは高いですが、リターンも高いように思われる新興国に集中投資するやり方もあるかもしれません。

ただ、相関係数は時とともに変化しますし、米国やドイツ株式も、かつて失われた20年から脱却して大きな上昇をしたこともありました。個人的には全世界に分散するやり方を維持し、1国のみのETFや投信で国のウエイトを調整するくらいにします。

もちろん唯一無二の答えがあるわけではありません。新興国株の比率をもっと高める考え方も、低くする考え方もどちらも一理あるでしょう。「結果は神のみぞ知る」です。

GPIFも新興国株への投資を開始するようです。

これについて、「最も保守的なGPIFですら投資するのだから、新興国株はこれからも有望だ」と解釈するか、それとも、「GPIFが出てきたくらいだから、先行者利益は大方消失した」と解釈するか。

ファンド調査会社EPFRによると、新興国の株・債券市場への資金流入は、今年の現時点で既に過去最高の600億ドル(約4兆8800億円)に達しているそうです。今後、後からついてくるフォロワーはどの程度いるか。

短期的には 市場予想では、FRBが追加緩和に投じる資金は少なくとも5000億ドルとされていますが、こうしたマネーは、新興市場に流れ込む公算が大きいというのが楽観的考え方。

他方、消極的に考えると、ブラジルやタイで資金流入への課税を強化していますが、各国でこのような策が講じられることにより、リスクマネーの巻き戻しが生じる可能性もあるか。

200日移動平均線との乖離率は、+約5%。過熱感は少々出ていますが、まだ上昇余地はあるか。+15~20%まで上昇したら、短期反落を警戒してもいいかもしれません。

もちろん下落余地もあります。特にFRBの追加緩和が市場期待ほどでなかった場合は、短期的なリスクマネーの巻き戻しが懸念されます。

The Goal
※STAM新興国株式のデータを利用して作成

※赤い点線は、乖離率(右軸)の標準的レンジ

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    2010.10.23 Sat l 資産運用の考え方 l コメント (4) トラックバック (0) l top
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