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■ギリシャ・ショックにより、日本の悪い財政状態が再びクローズアップされています。藤巻健史氏はこんなこと を言っています。

日本の財政状態が悪化を続け、日本がギリシャ化した場合はどうすればいいか旨のご質問を頂きました。この問題についてコメントしたいと思います。

一般的には、「財政悪化に抵抗力があるアセットクラスに投資しておくべきだ」という意見を見かけます。例えば、次のような資産です。

(1)輸出株

(2)外国株・外債・外貨

(3)金

(4)不動産

以下、順に述べます。

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(1)輸出株

日本の財政が危機的状況に陥った場合は、円安・金利上昇・インフレ率上昇が同時に発生する可能性が高いです。

そこに着目して、円安を享受できる輸出株に投資すればいいという意見もたまにみかけます。

しかし、実際に2008年に国債デフォルトとなったアイスランドの株価指数をみると、デフォルト直前から約20分の1まで暴落しています。

The Goal

例えばソニーのような売上高の約80%を海外事業が占めるような企業は、確かに日本企業の中では影響が相対的には軽微かもしれませんが、東証は閉鎖され、株を持っていたとしても売りに売れない状況となる気がします。

また、本社機能が日本にある限りは、影響は避けられないでしょう。

また、財政破綻に陥った場合、預金封鎖となると思いますが、銀行のみが対象とは限りません。国内の証券会社の資産も当然に把握され、株式などを保有したとしても、没収される危険性が残ります。

デフォルトが発生したアルゼンチンでは、年金基金が国有化され、年金基金の資産が国有化されたそうです。

したがって、これはあまり効果がないと個人的には思います。

(2)外国株・外債・外貨

財政破綻時は円安が進む可能性が高いことから、これらは有効でしょう。

ただ、ギリシャショック後に、世界各国で株価が大幅に下落してるように、まがりなりとも経済大国である日本が財政破綻となったら、世界各国にも飛び火する可能性もあるでしょう。

米国などは、米国債の有力引き受け先が一つなくなることになりますし、資金調達に影響が出る事態になるかもしれません。

また、上でも述べたように、日本国内の証券会社や銀行で外国株、海外ETF、投信、外債、外貨建てMMF、外貨預金などを保有していても、政府に没収される危険性はある気がします。2000年代初めに財政破綻したアルゼンチンでは、国民の外貨建て資産のペソ通貨への強制転換がありました。

日本国内の外資系金融機関の口座も同様です。

一つの手は、外貨のタンス預金。ただ、外貨の現物を手に入れようとすると、高いコストがかかります。何より、盗難・強盗リスク、火災リスク、地震リスクなどに晒されます。

個人的には、財政破綻リスクより、そっちのリスクの方が怖いです。

また、円以上に安全な通貨があるのかという問題もあります。ドルは「ドル凋落論」が盛んに語られ、ユーロも不安が残ります。豪ドルやカナダドル、英ポンドが円より安全かは、言い切れないでしょう。

「有事の際は金かスイスフラン」という言葉があるスイスフランはどうかというと、リーマンショック後やギリシャ・ショック後は、円に対して暴落しています。

もう一つの手段としては、資産の海外逃避。海外の銀行や証券会社などに口座を開いて、そちらに資産を移している人もいるようです。

海外の金融機関は、日本国政府とは無関係に、各々の国などの法律に基づいて運営されており、日本国内の預金封鎖の影響を受けることはないような気もします。

実際、ギリシャにおいては、富裕層を中心に、資産を国外に移す動きが顕著になっているようです。

ギリシャの銀行、財政危機で預金が海外に流出

ただ、海外送金については、一定金額以上は政府に把握されています。 「財政破綻という非常事態においては、政府はとれるものは何でもとろうとするため、海外口座についても、封鎖や一部没収を狙うはず。日本政府による在外資産課税などで、資産没収が実施される可能性がある」という意見もあります。

他方、「海外口座の有無や海外現地口座の預金高の把握については限界がある。政治家や超富裕層も、自己の資産を海外に移すと思われるため、自分の首を絞めるような政策を厳しくはとらないのではないか」という意見もあります。

万全を期すのであれば、日本以外の国の国籍(少なくても市民権)を取得できる状況を整えておき、いつでも移住できる体制を築いておくのが確実でしょう。

ただ、海外に資産を移すにせよ、日本以上に安全な国があるのかという問題があります。法律や税制の知識、トラブル時の対応、財政状況などについて、精通するのも必要。

アメリカもエコノミストの間では債務発散が懸念されていますし、ユーロ圏主要国も国債消化の半分を外国に頼っている状況。香港も一応中国の統制圏に属しています。シンガポールやカナダ、オーストラリアなどは安全な印象がありますが、日本では知られていない悪材料があるかもしれません。

「資産を移した先の国が預金封鎖になった」という笑えない事態もあり得るので、要注意。

本気で海外に資産逃避をするのであれば、まずは少なくても英語は話せるようにしないとですね。

また、海外への資産逃避は、いざ事態が深刻化してからでは手遅れであり、ある程度前もって準備する必要。

海外への送金は、1998年の外為法改正により、事後報告のみでよいことになりましたが、、「有事においては、許可制がとられること」が定められており、経済危機等においては、「外国為替を停止させることができること」という規定もあります。

また、いくら海外に資産を寝かせていても、海外渡航が禁止されたり、外為が停止されると、日本では引き下ろせない事態となるため、一時的には海外に身をおく必要があるようなイメージがあります。

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(3)金(ゴールド)

これも有効だと思いますが、三菱マテリアルや田中貴金属での純金積み立てや、貴金属ETFなどはダメだと思います。

繰り返しになりますが、貴金属業者や証券会社の資産は没収される可能性がある気がします。銀行の貸金庫も危険。民間の保管業者も、非常時には信頼が置けないかもしれません。

したがって、自宅に現物を保管しておく必要がある気がします。しかし、自宅での保管は、盗難・強盗リスク、火災リスク、地震リスクなどが伴います。

これは妄想ですが、非常時には「ゴールドを国に奉納する法」が制定され、警察などにより、全国民の家宅捜索があるような事態もゼロではないような・・・。「刀狩」ならぬ「金狩」。

この妄想は置いておいて、本当に財政破綻の状況になれば、「ゴールドの現物を持っていても、それがどの程度の流動性を保ちうるか」という点は未知数。

ゴールドを持っていても、一時的には買い手がつかず、売るに売れない状況となってしまうかもしれません。

金融業界の関係者の間では、「真の有事においてはゴールドは無力」という意見が多いです。

(4)実物不動産

これも有効だと思います。人が居住している不動産を強制収容するのはハードルが極めて高く、財政破綻時にも没収の可能性は低いといわれています。ただ、ゴールド同様に買い手がつかず、借り手も見つからず、「売るに売れないし、家賃収入も入ってこない」という状況になる可能性もあるでしょう。

多額の資産課税が導入される事態もありうるかもしれません。

また、当然、そのような状況になったら、不動産価格の実質価格は暴落すると思います。多くの人は実質所得が激減し、企業は青色吐息となり、不動産の需要は激減します。

また、住宅ローンが残っている場合は、解雇などで収入が低下し、ローン返済すら困難になったり、転勤や転職を余儀なくされたり、家の所在地域に貧困者が押し寄せてスラムが形成されたり、逆に過疎地域になったりするなど、家に固定されるリスクが出てくるかもしれません。

■以上、一般論についてコメントしました。まとめると、外国株・外債・外貨、金現物、実物不動産などは、財政破綻リスクヘッジに有効だと思います。ただ、金融機関や貴金属業者に資産を預ける形では、十分に保全されないでしょう。

少なくても自宅保管や海外逃避、万全を期すなら国籍離脱&海外移住が必要。

しかし、自宅保管や海外逃避には別のリスクが生まれ、大きなコストもかかります。国籍離脱には、壮絶な覚悟が必要でしょう。

それを考慮すると、「果たして今から財政は単に備える必要はあるのか?、費用対効果を勘案してどうか?」という視点はあるかもしれません。

この点、山崎元さんのレポートが非常に参考になります。

インフレのリスクとお金の運用


以下、上記コラムから引用
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少し見方を変えてみよう。インフレに対するリスクはもちろん考えなくてはいけないが、過剰に恐れる必要はないのではないか。たとえば、マイナス1%のデフレが、いきなり翌年プラス10%のインフレになるということは滅多にない。変化が徐々に起きるなら、対応は変化が起き始めてからでいいかも知れないし、変化が起きる前に過剰な対応をするとかえって損かも知れない。

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■確かに日本の財政状態が悪いのは確かです。財政破綻&ハイパーインフレの可能性もゼロではないでしょう。

しかし、財政破綻リスクヘッジは非常に高コストであり、他のリスクを背負わなければならない状況となります。

また、現在の日本の状況は、インフレになるどころかデフレであり、円安になるどころか円高になっています。政府の債務負担能力が過剰信任されている状態とも言えるでしょう。

世界中のほぼありとあらゆる通貨に対して、円は独歩高であり、世界的にギリシャ・ショックが吹き荒れる中、“最強の通貨”となっています。

「有事の際は金か円」といった状況。

財政の悪さを意識して、安易に外貨ポジションを取ってしまうと、やられてしまう場合もあります。

個人的には、費用対効果を考えると、財政破綻より他にヘッジすべきリスクがあるのではないかと思います。

例えば、交通事故死

昨年の交通事故死者数は4,914人であり、1時間47分に1人が交通事故で亡くなっています

しかもこれは24時間以内の死者数。救急体制や医療技術が年々発達していることを考えると、24時間を超えた死者数はもっと多いのではないかとも考えられます。

これに対して、過去の日本史を振り返ると、およそ100年に1度は、ハイパーインフレや重い資産課税、徳政令などで政府の借金棒引きが図られています。

国の財政破綻は100年に1度(876,000時間に1度)です。最後の財政破綻から約65年が経過しようとしており、そろそろ・・・という点が不気味と言えば不気味ですが・・・。

財政破綻を心配するのであれば、その約49万1215倍、交通事故死を心配する必要があるような気もします。

平成21年版犯罪白書 によると、平成20年の犯罪件数は、以下の通りです。

殺人 1297件(約7時間に1人

強盗 4278件(約2時間に1人

強姦1582件(約6時間に1人

放火 ・失火1697件(約5時間に1人

また、痴漢冤罪 の正確な件数は、ざっくりググッたところ出ませんでしたが、判決が出ただけでも、約10年で30件以上あるそうです。

否認して拘留され続けて職場をクビになるか、やってないけど認めて罰金を払って解放されるか、という究極の二者択一に迫られた極限状況下、「認めれば出れるよ」という甘言(?)にぐらつき、止むを得ずしたことにした人も相当数いるようなイメージがあります。

(実際のところはわかりません。)

財政破綻より、交通事故死、殺人、強盗、強姦、放火、痴漢冤罪などの方が、はるかに現実的脅威ではないでしょうか。

あらゆるリスクをフルヘッジしようとすると、膨大なコストがかかります。そこで、費用対効果を勘案して、どのリスクをどこまでヘッジするかを決めることになります。

財政破綻リスクヘッジも同じような視点が必要かなと思います。

その点では、日本国が破綻するよりは、交通事故で死亡したり、殺害されたり、強盗や放火の被害に遭う可能性の方がはるかに高く、そちらに保険をかける方がより有意義と個人的には思います。

個人的には、財政破綻への対処は、交通事故・犯罪リスクを、例えば以下の手段でフルヘッジしてからでも遅くないのではないかなと思います。

(1)車には乗らない。また、車が通りそうな道路は極力歩かない。

(2)自宅 には鉄壁の防犯・防火体制を築く。屈強なガードマン常駐。

(3)極力外は歩かない 。外を歩く場合は、できる限りボディーガード帯同。

(4)満員電車には乗らない。磯崎さんは乗らないようにしている そうです。

もちろん、「日本の財政破綻は心配する必要がないし、リスクヘッジする必要がない」と言いたいわけでは全くありません。

言いたいのは、「保険は費用対効果を考えた方がいい気がする」ということです。

ちなみに私は財政破綻への備えは全く何もしていません。生まれ育った町や今住んでいる町に愛着があり、生活の本拠を海外に移すというのもなかなか・・・。

ただ、長期金利が1%台前半の低空飛行が永遠に続くとは考えてなく、金利上昇は十分にあり得ると想定して、金利上昇への備えはしておこうと思っています。

しかし、有名な大学で「財政学」を研究している大物教授が、海外に逃げたり、資産逃避したという話は聞いたことがありません。私が知らないだけかもしれませんが。

なんだかんだ言って大丈夫というオチになるというのは楽観的過ぎですかね。。。

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    2010.05.25 Tue l 資産運用の考え方 l コメント (4) トラックバック (0) l top
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