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■ふと細かいアセットアロケーションの最適資産配分のデータを見たいと思い、GPIFのデータを用いて計算してみました。

GPIFの「基本ポートフォリオの検証について(平成20年6月23日)」のデータをベースに、一定のリスクの範囲内で期待利回りが最大になるように、エクセルのソルバーで最適配分を出しました。

本来はリスク拒否度などを用いた効用関数の形で、効用を最大化するやり方がいいのかもしれません。

ただ、それだとピンとこない方も多いかもしれないので、わかりやすく期待リターン・リスク・相関係数をファクターに、あるリスクの範囲で期待リターンを最大化するというやり方にしました。

(1)GPIFと同データ(1973~2007年)

まずはGPIFのポートフォリオ検証と同じ条件で計算しました。

 期待リターンリスク
流動性資産2.10 3.72
国内株式5.30 22.15
国内債券2.80 5.40
外国株式6.00 19.59
外国債券3.40 13.25

GPIFの基本ポートフォリオの検証について(平成20年6月23日) から引用

※相関係数の記載は省略します。リンク先のデータを用いています。

計算結果は以下の通りです。それぞれのリスクにおいて、期待リターンが最大となる資産配分です。 The Goal

外国債券は、リスクを抑えた場合は組み入れ資産に入ってきますが、高いリスクを許容できる場合は入ってきません。その分を外国株式に振り分けた方が効率的と計算されているようです。

日本株式と外国株式の比率は、概ね1:2~1:3程度となっているようです。

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(2)GPIFの期待リターン修正版(1973~2007年)

GPIFのデータは、流動性資産と債券の期待リターンが高いのではないかという気がします。GPIFは期待インフレ率を見込んでいるということですが、個人的には現時点で現実的な値を用いた方がいいような気がしています。

よほど相場観に自信がある場合は別として、現在のアセットアロケーション時は保守的に現実的な値を採用しておき、例えば金利が1%上昇するなど、経済環境に大きな変更があった場合は、適宜再度アセットアロケーションした方がいいなかなと個人的には思います。

流動性資産、国内債券、外国債券の期待リターンを、現時点で現実的と思われる値に修正した場合の最適配分を同様に出しました。

また、ここで述べた ような観点から、グローバル化され自由化された現代の金融市場においては、基本的には先進国の同一アセットには、一つの期待リターンが要求されるという観点から、日本株の期待リターン=外国株式の期待リターンとしました。

 期待リターンリスク
流動性資産0.10 3.72
国内株式6.00 22.15
国内債券1.50 5.40
外国株式6.00 19.59
外国債券1.50 13.25

結果は以下の通りです。

The Goal

(1)と同様に、外債はリスクを抑えた場合には入るが、リスク許容度を高めた場合は入ってきませんでした。また、日本株の期待リターン=外国株の期待リターンとしたことで、日本株と外国株の割合は概ね4:6程度となりました。

山崎元さんが著書(超簡単 お金の運用術) で「日本株:外国株=4:6」を提案していますが、それと同じような結果となりました。

ちなみに、表の一番下でリスクを17%ではなく16.5%としたのは、債券の割合をちょうど0%にするリスクが16.5%だったからです。17%にすると、リスクが高い日本株のほうを過大に取ろうとして、日本株の割合が極端に増えました(約60:40)。ですので、16.5%で計算しています。

(3)GPIFと同データ(※一部データが過去10年程度)

GPIFのデータは1973年~2007年の35年間ですが、今とは世界経済や金融の状況がまるで異なる期間を含んでいます。リスクや相関係数測定に当たり、データの採取期間をどの程度にするかというのは、大きな問題の一つでしょう。

期間を長くとると現在とは異なる状況(今後は当てはまらない状況)のデータを含んでしまいますし、短く取ると短期的な異常期間があった場合、そのデータを含んでしまい妥当かという問題が生じます。

現代はグローバル化が進展し、世界経済が一体化して先進国間では情報障壁もなくなりつつあり、国内外の株式や外債との相関係数が高くなっています。

マッキンゼーによると、国境を越えた資本の移動がここ20年間で急激に増加しており、その総額は90年の1兆1000万億ドルから、07年は11兆ドルまで増加し、約10倍となりました。

もちろんこれは一過性のものであり、また1970~80年代のような状況となるかもしれませんが、趨勢的なトレンドは元には戻らない という意見もあります。

そこで、参考までにリスクと相関係数について、データ採取期間を過去10年くらいにして計算してみました。

日本株式と外国株式のリスクと相関係数、日本株式と外国債券の相関係数は1999年~2009年(山崎元さんのコラムのデータ )を利用。

日本債券と他のアセットクラスの相関係数、外債と外国株式の相関係数は、2001年10月15日~2010年5月3日までのインデックス投信のデータ(週足ベース)を使って、計算しました。

※本当は期間をそろえなければならないし、投信ではなくインデックスそのもののデータを用いるべきでしょうが、投信のデータが手元にあり、その期間が2001年10月15日からだったので、簡便的にこれで計算しました。あくまでご参考程度ということで。。

インプットしたデータは以下の通り。緑色部分が、GPIFから変更した部分です。

 期待リターンリスク
流動性資産2.10 3.72
国内株式5.30 18.03
国内債券2.80 5.40
外国株式6.00 19.11
外国債券3.40 13.25

<相関係数>

日本株式日本債券外国株式外国債券
日本株式1.00    
日本債券-0.35 1.00   
外国株式0.60 -0.29 1.00  
外国債券0.46 0.35 0.69 1.00

計算結果は以下の通り。

The Goal

ここ10年ほどは、日本株式と外国株式、日本株式と外国債券の相関性が高まったことが影響したからか、外債が入ってきませんでした。日本株式と外国株式の比率は、大雑把には1:2程度。

上記のデータで日本株式と外国株式の期待リターンを同一(6.00)にして計算すると、以下の通りとなりました。

The Goal

今度は日本株式と外国株式の割合が大雑把には4:3程度になりました。

■最適資産配分の計算にはインプットするデータ(期待リターン、リスク、相関係数)がかなり重要となりますが、リスクは概ね過去データの計測でよいとされていますが、期待リターンと相関係数の測定は難しく、結局は個々人の判断を入れざるを得ません。

曖昧なインプットからは曖昧なアウトプットとなりますので、「上記の資産配分が正しくてこれ以外は違う」と言いたいわけでは全くありません。

未来は過去の単純な延長ではありませんし、期待リターンの正確な測定は極めて難しい。唯一無二の答えがある問題ではないと思います。

ただ、GPIFのデータを利用した計算結果をまずはベースにして、そこに自分の考えを入れていくというアプローチは、一定程度は意義のやるあり方なのかなと思いました。

個人的には、今回の計算結果からは、「日本株式と外国株式の割合は1:1~1:2程度、為替ヘッジ無し外債は全体の0~10%。後はリスク許容度の範囲で債券と株式の割合を調整」かなという印象を持ちました。

<追記>

KKRの2010年度のデータを用いた最適試算配分

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    2010.05.11 Tue l 資産運用の考え方 l コメント (1) トラックバック (0) l top
    コメント
    1. これは凄い

    まつのすけさんは凄いですねえ・・・
    こんなに精緻に検証されているとは・・・
    感嘆です。
    と言っていますが、
    数字に疎い私には、あまりに凄すぎて、
    多分精緻なんだろうと思うだけで、
    正直よく分かりません(^^)
    2010.05.13 Thu l まつのすけ. URL l 編集
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