TOP > 家計・公的年金・社会保険 > ご覧のページ
「無税入門」 という本を図書館で見かけて読みました。

内容は、サラリーマンが副業(大幅な赤字)を雑所得ではなく、事業所得として申告し、給与所得と損益通算することで、所得税と住民税がゼロになる(還付される)というもの。著者はこの方法で37年間、所得税と住民税を支払わなかったようです。

赤字を出した場合に他の所得と損益通算できる所得は、①不動産所得、②事業所得、③譲渡所得(マイホームの売却損など)、④山林所得の4つしかありません。この点で、これらの所得は、給与所得等と比べ、納税者に有利です。

通常、副業は雑所得として申告します。しかし、雑所得は、黒字を出した場合は給与所得などと共に総合課税されますが、赤字を出した場合は所得ゼロとされてしまい、給与所得と合算できません。実際は、「事業所得か雑所得か」の基準には曖昧な面があり、グレーゾーンが存在するのは確かでしょう。

事業所得とは、「対価を得て継続的に行われ、営利性や有償性があり、その実態が社会通念上事業と認められるもの」とされています。

雑所得は、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも該当しない所得」です。

スポンサーリンク
■ではこの手法にリスクがないかというと、そうではないと思います。 そもそも論として、会社の就業規則で兼業が禁止されている場合は、形式的とはいえ副業をしていることにするのはリスキーでしょう。

仮に兼業がOKの場合でも、問題はあると思います。同書には、「署員がサラリーマンの説明に納得しない場合は、確定申告のやり直し(雑所得扱い)という処分になるが、ペナルティなどは発生しない。」という記述があります。

これは間違いではないのですが、触れられていない事実があります。延滞税 です。

経費について、税務調査などで指摘されない限り、納税額を減らすことは可能でしょう。ただし、税務調査は過去何年も前に遡って行われます。そこで指摘が入り、税務署の考える本来の税額に不足していれば、税務署の指摘後速やかに全額納付しなければなりません。

確定申告した際、その場で指摘があれば、仮に修正したとしても何の損失もありませんが、毎年度の法定納付期限(3月中旬)を過ぎてから、税務署から指摘を受けた場合は、こうはいきません。

期限から2か月間は、年7.3%、それ以後は年14.6%という消費者金融並みの延滞税が課せられます。税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、税金のほかに過少申告加算税も課されます。

では何年くらい遡って調査されるかというと、税務調査に入られた場合、通常は3年、怪しまれると5年、最大7年程度と言われています。帳簿の法定保存期間が申告後7年間なので、それが上限と言われています。5年については、所得税法での最高刑が懲役5年で、公訴時効が5年だからです。

普通に調査が入る(無作為抽出による調査)は、3年分を目処として調査し、怪しいところがなければそれだけで終わるが、不審な点があると、それ以前の分も調査されると言われています。


■また、そもそも論として、事業の体をなしておらず、どう考えても雑所得のレベルのものを事業所得として税金を免れるのは、倫理的にどうかと思います。ただ、同書を覆う考え方で一つ納得できるのは、「税金をよく知ろう」ということです。

このブログを見てくださっているような方は、意識が高い方が多いと思いますが、一般的には、サラリーマンは税金に関心が薄く、あまり知らない人が多いと思います。

日本の税金に占める割合は、消費税、所得税、法人税が大きいですが、所得税のほとんどはサラリーマンなどの給与所得者から徴収したものと言われています。

野口悠紀雄氏や橘玲氏の著書を読むとよくわかりますが、自営業者や中小企業経営者は、1000万程度の純収益であれば、多種多様な節税策により所得を合法的にゼロに操作できると言われています。

現在の日本の税制では、中小企業経営者・自営業者は法人税も所得税も社会保険料もほとんど支払っていないそうです。それでいて、年金や健康保険は享受できます。これが、少し成功した自営業者が急速にリッチになるカギのようです。

同じ年収でも、会社員か自営業者かの就業形態の違いで、生涯に支払う租税・社会保険料は、大きな家が1軒立つほど変わってくるケースもざらであるそうです。

昔、大学の政治学入門のような講義でちらっと聴いた記憶があるのですが、一般的には、企業経営者・自営業者には自民党支持層が多く、会社員などの給与所得者層には非自民党層が多いようです。

その時はそんなもんなのかなと思ったのですが、その要因の一つにはこのような税制問題があったのかもしれません。しかし、自民党政権が終焉し、民主党政権になっても、この会社員への差別的待遇は全く変わりそうもありません(*´д`*)ハァハァ

やはり起業ですかね・・・。


■余談ですが、実は源泉徴収というのは、もともとナチス・ドイツで考案された制度のようです。戦時中、日本政府も軍事費に窮しており、ナチスを真似して源泉徴収を導入したようです。そして、終戦後も源泉徴収制度は撤廃されることなく、そのまま残ったようです。

源泉徴収はナチスが考えた制度だけあり、冷酷無慈悲に隙がなく完璧です。民間会社に給料の税金徴収義務を負わせるので、会社は罰せられることを防ぐために必ず取り立てます。収入を100%捕捉でき、且つ100%税金を徴収できます。

おまけにサラリーマンは自分で納税する必要がないため税金への関心が薄れます。国の立場からみると、何もうるさいことを言わずにせっせと税金を払ってくれる貴重な存在へと教育する効果もあります。

はっきり言って、国税庁はサラリーマンをベロンベロンに舐め切っている状態になっていると思います。やはり、税金に関する知識をつけ、少しでも無駄な税金を払わないようにすることは、意義があるのではないかと思います。

もちろん、脱法行為は論外ですが、確定拠出年金、各種保険料控除、医療費控除、雑損控除、住宅ローン控除、外国株式の配当控除、株や投信の損失と配当の損益通算など、100%合法的に活用できる節税策については、最大限活用した方がいいでしょう。


■多くの会社員は、源泉徴収と年末調整で完結させるという徴税により、税金に対する意識が完全にフリーズして麻痺状態となっています。

日本企業のほとんどは中小企業・自営業者ですが、中小企業経営者・自営業者の多く(純収入1000万くらいまで)は、法人税も所得税も社会保険料も支払っていないと言われています。

したがって、日本国民で税負担意識があるのは、一部の意識が高い給与所得者と、数千万以上の収入がある成功した企業経営者・自営業者、規模が大きい企業の経営陣などに限られます。

この税負担意識の欠如は、無駄な財政支出への監視を弱める気がします。納税の痛みを感じている人は、国が無駄な支出をすることに対して厳しくなるでしょう。

負担意識が欠如している場合、人々の関心は、政府の支出を監視することではなく、「政府からどれだけカネを貰うか」に向いてしまう気がします。そうして財政規律がガタガタになり、ここまで赤字が無尽蔵に膨らんだという面があるのかもしれません。

米国で小さな政府志向が強いのは、全ての市民が日本でいう確定申告のような作業を毎年行わなければならず、一旦手元に入ったお金から税金を支出するため、税負担に対する意識が非常に高い点にあるのかもしれません。

やはり、税制そのものを議論し、財政支出への意識が働くような税制をつくってほしいと切に願いますし、そのように各政党の関係者にはお伝えしたいと思います。

消費税は非常に税負担感が重い税制であり、国民に受けがよくないですが、消費税の利点には、(1)人々が負担感を感じ、財政支出への意識を高める、(2)節税・脱税が不可能であり、全市民が公平に負担する、という点はあるのかもしれません。

消費税はいずれ上がるでしょうが、そう思ってストレスを軽減したいと思います(笑)

スポンサーリンク

Google+で売買報告や限定投稿を配信しています!


関連記事

    2010.06.09 Wed l 家計・公的年金・社会保険 l コメント (6) トラックバック (0) l top
    コメント
    1. 無題

    今回も濃い内容の記事でしたね。
    不動産所得を得るようになると、必然的に税金を意識するようになりましたね。
    税金は分かりやすいことが大事ですから、究極的に言うと人頭税でしょうか。
    2010.06.10 Thu l ひで. URL l 編集
    2. 非常にタメになる記事でした

    FPのとんちゃんです。
    初コメさせていただきます。

    ご指摘の本、私も読みましたが、リスクありと思います。実態としての事業活動がなければ、租税回避行為と認定されても仕方ないですから。

    ただ、税金について考えるキッカケにはなりますね。その点、まつのすけさんと同じ意見です。
    源泉徴収制度は維持しても、アメリカのタックスバックのように、基本的に全員、確定申告する方式にすべきかと。今ならネットで申告できるのですから。
    2010.06.10 Thu l とんちゃん. URL l 編集
    3. Re:無題

    >ひでさん

    人頭税が究極でしょうね。それだと逆進性が高すぎるんですかね。

    欧州が消費税がやたら高いのは、直接税にした場合の所得補足に限界があるからみたいな話をふと思い出しました。
    2010.06.12 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    4. Re:非常にタメになる記事でした

    >とんちゃんさん

    ネットで申告でできますよね。運転免許についても、無事故・無違反者はネット更新できるようにしてもらいたいです・・・。
    確かアメリカはできたような。

    住民税を自分で払っている人に聞くと、やはり一度懐に入ったお金で税金を払うのは、身をもがれる様な負担感があるそうです。

    2010.06.12 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    5. 延滞税

    なるほど、延滞税リスクですか。
    早めに申告しておいた方がリスクが低いということですね。
    参考になりました。
    2010.06.12 Sat l ONE. URL l 編集
    6. Re:延滞税

    >ONEさん

    その場で指摘されたらいいんですけどね。2~3年泳がされて、修正申告となったら、ダメージが・・・。
    2010.06.14 Mon l まつのすけ. URL l 編集
    コメントの投稿











    トラックバック
    トラックバック URL
    http://thegoalnext.blog.fc2.com/tb.php/274-881a770c
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)