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■公的年金の資産を運用するGPIFが、2010年度からの5年間のアセットミックスについて、現在の割合を維持する方針を固めたと報じられました。

長妻厚労相が金融市場への配慮から、現在の割合を変更するのに慎重姿勢をとり、現状維持を強く意向したそうです。運用資産が大きいことから、1%の資産配分変更でも巨額の資金が動くため、マーケット・インパクトが大きいのを考慮したのでしょう。

厚労省が示す中期目標に沿って、GPIFは5年間のアセットミックスを盛り込んだ計画を策定する必要があり、現在の期限は今月末でした。

アセットミックス は、国内債券67%、国内株式11%、外国株式9%、外国債券8%、短期資産5%です。

資産配分を据え置いたことについては賛否両論がありました。それは置いておいて、GPIFのアセットミックスを簡単に分析してみたいと思いました。

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■GPIFが前回のアセットアロケーション で用いた期待リターン、2年前に推計したリスクは、以下の通りとなっています。

 期待リターンリスク
流動性資産2.00 3.72
日本株式4.80 22.15
日本債券3.00 5.40
外国株式5.00 19.59
外国債券3.50 13.25

基本ポートフォリオの検証について から抜粋

債券の期待リターンが楽観的ではないかという点はありますが、これを元に計算した期待リターンは3.37%、リスクは5.35%でした。

当該アセット・ミックスにおいて運用利回りが目標収益率を下回る確率を「ショートフォール確率」といいます。

±0のショートフォール確率(運用利回りがマイナスになる確率)を計算してみると、約26.47%でした。およそ4年に1回はマイナスになる年が出てくると考えられます。

実際には、2001~2009年度の9年間の運用利回りは、プラスが5回でマイナスが4回であり、およそ2年に1回は前年比マイナスとなっています。

VaR (ある一定の期間内に、ある一定の確率で起こりうる損失額(or損失率))についても計算してみました。

+2σ(上から約2.28%地点の騰落率)は+14.07%、+1σ(上から約15.87%時の騰落率)は+8.72%、-1σ(下から約15.87%地点の騰落率)は-1.99%、-2σ(下から約2.28%時の騰落率)は-7.34%となりました。

つまり、約68%の確率で、運用利回りは-1.99%~+8.72%の範囲に収まり、約95%の確率で、-7.34%~+14.07%の範囲に収まると、大雑把には考えられます。

実際の収益率を見てみると、下表の通りです。

年度運用利回り
2001-2.48%
2002-8.46%
200312.48%
20044.60%
200514.37%
20064.75%
2007-6.41%
2008-10.03%
20097.96%

※データ元:GPIF

※市場運用分の利回り

※2009年度は4~12月

実際には、9年間の間に、-2σを下回っているケースが2年、+2σを上回っているケースが1年あり、金融理論のきれいな想定通りにはなっていませんが、大雑把には、±2標準偏差が概ね参考になるでしょう。

■GPIFがアセットアロケーションに用いた期待リターンについては、「流動資産や債券の期待リターンが高すぎるのでは?」と思う方が多いと思います。そこで、現時点での現実的な値として、流動資産0.2%、国内債券1.5%、外国債券2.0%で計算してみました。

(GPIFは、外国債券の期待リターンを国内債券よりも高く設定しているため、ここでも+0.5%としました。)

計算結果は、次の通りです。

<期待リターン>

2.15%

<リスク>

5.35%

<±0のショートフォール確率(運用利回りがマイナスになる確率)>

約34.38%(およそ3年に1回はマイナスリターンが想定)

<VaR>

+2σ・・・12.86%

+1σ・・・ 7.51%

-1σ・・・-3.20%

-2σ・・・-8.55%

※約68%の確率で、運用利回りは-3.20%~+7.51%の範囲に収まり、約95%の確率で、-8.55%~+12.86%の範囲に収まることが想定

■以上、GPIFのアセットミックスを簡単に分析してみました。印象としては、まあまあ良い資産配分であり、リスクを抑えた安定的運用の一つの見本と言えるのではないかなと思いました。

2008年度の深刻な金融危機においても、-10%で済んでおり、2003年や2005年、2009年などの株価上昇時は、10%前後のリターンを残しています。

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    2010.03.24 Wed l 資産運用の考え方 l コメント (4) トラックバック (0) l top
    コメント
    1. 無題

    数字の検証をする能力はないので、そのまま鵜飲みしちゃいますが、立派な成績ではないでしょうかか。
    マスコミもこういう実績をちゃんと検証した上で、批判なり何なりして欲しいものです。
    2010.03.24 Wed l 40歳無職. URL l 編集
    2. 無題

    まつのすけさん

    いつも拝見しております。
    GPIFの期待収益率ですがPorcoさんのブログによりますと、インフレ率1%を上乗せしたものらしいです。

    Porcoさんのブログ
    シミュレーション GPIF 国民年金基金
    http://ningyocho.blogspot.com/2009/12/gpif.html

    2010.03.25 Thu l Tansney Gohn. URL l 編集
    3. Re:無題

    >40歳無職さん

    その通りですよね。今回の資産配分据え置きについても、批判的な新聞記事が多かった印象がありますが、リターンを上げようとすると、そこには必ずリスクが伴う点にはあまり触れていないのには、疑問が残りました。
    2010.03.27 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    4. Re:無題

    >Tansney Gohnさん

    面白いブログを教えて頂いてありがとうございました。

    インフレ率を1%加算しているんですね。20年後などの長期のシミュレーションにおいては、そのような仮定も妥当でしょうね。
    2010.03.27 Sat l まつのすけ. URL l 編集
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