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■「藤巻健史の5年後にお金持ちになる『資産運用』入門」を読みました。

本書の面白かった点の要約は、以下の通りです。

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・どういう人がお金持ちになるかというと、経済の流れを見て、「これからインフレになるのか?デフレになるのか?」などを見極められた人。どの株の銘柄がいいかなということを考えていた人ではない。

30年前に株と土地を買って、バブルのピークで土地と株を売って、国債や定期預金に切り替えた人、すなわちインフレが終わったと思いデフレモードにした人は大儲けした。

経済や金融をしっかり学習し、デフレになるかインフレになるか予想し、かつデフレになったらどういう商品がいいか、インフレ時はどうか、などをきちんと理解する。

政府・日銀の景気把握状況、それに基づきどのような政策を打っているかなどを押さえ、国際的な経済状況も見ておく。その上でどういう金融商品を買ったらいいのかを見極める。

・どんな時でも、何が何でも株がいいというわけではない。そうではなく、今株に投資するべきなのか、それとも株を処分して国債にするべきか、などを考えることこそ重要。株、土地、国債、為替、金利などについての基本的な知識を勉強して、それをどう活かしていくかが大切。

・少しでもいいから投資をやってもらいたい。そして、いちばん重要な時(大きな買い物をする時など)にその勉強を活かせるようにしておくのが理想。きちんとした経済の知識があれば、人生で一番大きい買い物、家とか土地とかを買うタイミングを間違えなくて済む。

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その通りだと思いますが、それをするのはとても難しいのが現実。旧モルガン銀行で支店長をつとめ、1年ですがジョージ・ソロスのパートナーもつとめた藤巻氏でさえ、ここ数年間の予想はことごとく外れています。

藤巻氏がもし公言しているのと同じポジションを取っていれば、資産運用では大きな損失を出しているはずです。相場予測は本当に難しい。

相場観に基づき、極端なポジションを取ると、上手くいけば大儲けできますが、逆流すると吹き飛んでしまいます。自分の相場観を過信して極端なポジションを取るのは慎みたいと思います。

自己の予測を実際の運用に反映させる際には、予測の当たり・外れの精度を考慮する必要があるでしょう。可能な限り客観的にアセットアロケーションのインプットに反映させることが大事だと思います。

例えば特定のアセットクラスの期待リターンは+50%だと予測していたとしても、それをそのまま資産配分を決める際に利用するのはリスキーです。

予測と現実の相関関係はどの程度あるかを考慮する必要。優秀なファンドマネージャーの場合は、相関係数0.05~0.1くらいだと言われているようです。勝敗の形で表現すると、21勝19敗~22勝18敗です。これを加味する必要があると思います。

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■具体例を挙げます。

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GPIFの基本ポートフォリオの検証について(平成20年6月23日)のデータ(※)を利用して、リスク10%の範囲内で期待利回りが最大になるように、エクセルのソルバーで最適配分を計算してみました。

 期待リターンリスク
流動性資産0.10 3.72
国内株式5.30 22.15
国内債券1.50 5.40
外国株式6.00 19.59
外国債券1.50 13.25

※流動性資産、国内債券、外国債券の期待リターンは、現時点で現実的と思われる値に修正しています。

計算結果は、国内株式19%、国内債券42%、外国株式39%、外国債券0%、流動性資産0%でした。

ここで、日本株式の期待リターンは+20%という予測を立てていたとします。では、日本株式の期待リターンを20%で計算していいのでしょうか?

仮に日本株の期待リターン20%で計算すると、国内株式45%、国内債券25%、外国株式0%、外国債券31%、流動性資産0%が最適配分となりました。これではバランスがよくない危ういポートフォリオとなってしまいますね。

予測の制度を計算に加味してみます。優秀なファンドマネージャー並みに予測と結果の相関係数が0.1(22勝18敗)と考えて、市場予測の平均が5.3%だとします。

そして、20%(予測)-5.3%(市場予測平均)×0.1(相関係数)の計算結果である1.47%を期待超過リターンとする考え方で計算してみます。

この考え方に基づき、国内株式の期待リターンを5.3%+1.47%の6.77%で計算すると、リスク10%での最適資産配分は以下の通りとなりました。

国内株式26%、国内債券42%、外国株式32%、外国債券0%、流動性資産0%。

国内株式が20%上昇するという相場観を加味させ、期待リターンが上昇したことにより、国内株式の配分が19%→26%にアップし、外国株式の割合が低下(39%→32%)しました。

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もちろん、期待リターン、リスク、相関係数をどのように設定するかで最適配分はまるで違ったものとなります。あくまで一つの例であり、「これが正しい」と言いたい訳では全くありません。

言いたいのは、「自分の相場観を過信せずに、予測の精度を加味してアセットアロケーションする必要がある気がする」ということです。

仮に優秀なファンドマネージャー並みの相場観だったしても、株価が20%上昇すると予測する場合、資産配分は数%程度しか動かさないのが無難ではないかと思いました。

■ただ、やはり前述の青字の部分のようなことを考えるのは大事だと思います。

金融自由化により、金融機関や企業のみならず、個人も誰もが、負債や資産を通じて、金利、株価、為替、不動産などの相場変動リスクに晒されるようになりました。

100%預金だとしても、金利上昇リスクに晒されます。低金利の時に資産の大きな割合で長期固定金利の定期預金を契約してしまうと、金利上昇した際、定期預金の実質価値は下落します(債券と同じ原理)。時価評価した場合には実質的に元本割れと評価できることもあります。

良いか悪いかは別として、相場リスクにどのように対応するかで人生を通じて享受できる富の配分が異なる時代になりました。

合理的な投資判断は、目先の相場変動が上がるのか下がるのかを予想できるようになることではないでしょう。それは極めて難しい。

合理的投資判断とは、不必要なリスクをとらず、とるに値するリスクを選ぶ目を持つことだと思います。

資産相場の大局的な割安・割高を理解し、大幅に割高相場の資産は多少なりとも減らし、割安な時は多少でも購入(投資)することで、長期的な資産運用パフォーマンスをアップさせることができると個人的には思います。

もちろん言うのは簡単ですが、もの凄く難しいことですが。。

それを実現する最も容易な手段は、実はアセットアロケーションによって定めた資産配分(アセットミックス)を維持することだと思います。

アセットアロケーション+リバランスの根底にある思想は、逆張りの考え方であると言われています。価格が上昇したアセットクラスを売却し、価格が下落したアセットクラスを買い増すことになるからです。

例えば、2006~2007年には、株価上昇と円安により、株式や外債の保有割合が増加したはずです。アセットミックスを維持する方針を貫いたのであれば、それらを売却し、国内債券を購入する行動がとれました。

2008年10月~2009年3月は、それとは逆に株式や外債の保有割合が激減し、国内債券の保有割合が増加したはずです。この場合は、株式や外債を多く購入することができました。

結果としては、リバランスを行いアセットアロケーションの資産配分を維持していた年金基金は、相対的に高いパフォーマンスを上げることができました。

もちろん、「価格が上昇する」と「割高」が一致するわけではありませんし、「価格が下落した」と「割安」が一致するわけでもありません。

しかし、一定の資産配分を維持することは、割高相場の資産を多少なりとも減らし、割安な時は多少でも購入することにつながるのではないかと考えています。

短期的な相場観で基本ポートフォリオをころころ変更したりすることはしません。経済や資産運用の前提条件が変わり、期待リターンが大きく変更したと判断した場合は、再度アセットアロケーションし、基本ポートフォリオの資産配分そのものを変更することにしています。

■まとめとしては、各アセットクラスの割安・割高性や世界経済やマネーの動きにアンテナをはりつつも、前述のように自己の相場観にオーバーコンフィデンスにはならず、極端なリスクテイクや資産配分は避けたいと思います。

そのための最も容易な手段として、「アセットアロケーションで定めた資産配分を維持して、大きく乖離した際はリバランスする」ことを資産運用の大原則としたいと改めて感じました。

やはり世界中の多くの年金基金がアセットアロケーションによるポートフォリオ策定を行っていることに対しては、見習う点があると思います。

ウォーレン・バフェット氏の以下の言葉を常に意識したいと思っています。

Whether we’re talking about socks or stocks, I like buying quality merchandise when it is marked down(株であろうと靴下であろうと、質の高いものが値下がりしたときに買うのがよい

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    2010.04.27 Tue l 資産運用の考え方 l コメント (3) トラックバック (0) l top
    コメント
    1. ためになりました

    いつも楽しみに読ませてもらってます。
    今回の記事は特に読み応えがありました。
    藤巻さんの本よりも為になりますね。
    といいつつも、アセットアロケーション、頭では分かっていても実践できてません、はい。
    2010.05.01 Sat l まつのすけ. URL l 編集
    3. 参考にさせて頂きます

    トラコミュから来ました。

    非常に参考になるレビューとご意見ですね。
    早速本を買ってみようと思います。

    応援ポチです。 o(^0^)o
    2010.08.05 Thu l まつのすけ. URL l 編集
    5. ちょっと辛口ですが、

    藤巻さん、最近日経ヴェリタスで特集されてるんですが、ここまで予想を外してて良くメディアに出れるなぁというのが率直な感想です。

    ファンの方ごめんなさい。言わずにはいられなかったもので。
    2010.12.06 Mon l まつのすけ. URL l 編集
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