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先日 は、みずほ信託銀行が、年金基金向けの「長期基本モデル・アセット・ミックス」において、国内外の株式の期待リターン、国内外の債券の期待リターンを同じに設定していること、「国内株式の期待リターン=外国株式の期待リターン」の考え方について述べました。

※再掲
長期投資環境見通しと資産別期待リターン・リスク みずほ信託銀行
The Goal


今日は、「国内債券の期待リターン=外国債券の期待リターン」の考え方の背景について述べます。このブログには、以前に外債と国内債券の期待リターンについて書いたことがありました。
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外国債券に投資すべきか?(1)
外国債券に投資すべきか?(2)
外国債券に投資すべきか?(3)
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今回は違う角度から見てみたいと思います。
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■先日の国内株式と外国株式の期待リターンについて述べたのと同じように、現在は、世界中で、金融が高度化され、完全にグローバル化されており、世界中の債券が投資対象です。(※新興国には規制が残る国もあります。)

世界中の投資家は、世界中の債券の期待リターン・リスクを比較検討し、日本国債が米国債よりリターンが低いと判断すれば、日本国債は買わずに、米国債を購入します。他の国との関係でも同様です。

また、債券に限らず通貨(為替取引)においても、同様です。ドルが強くなると思えばドルを、ユーロならユーロを、円なら円を購入します。

このように、現在の金融市場では、あらゆる債券に対するリスクとリターンが世界中で比較考量され、債券価格や為替レートが決定します。

少しでも期待リターンが高ければ、高い方が買われて価格や為替レートが上昇し、結果として割高性が出てきます。低い方は価格や為替レートが下落し、割安感が出てきます。概ね同じような期待リターンのところに均衡するまで、リターンの低い方が売られ、リターンの高い方が買われます。

つまり、同種の金融商品は、世界中で一つの期待リターンがすべての国で要求されることになります。

もちろん、結果としてのリターンは、どの国の債券も同じわけではありません。しかし、みずほ信託銀行の立場は、事前にどの国の債券の期待リターンが高いかを判断するのは難しく、また、色をつけて判断するのは適切ではないという立場なのでしょう。


■債券の実質的リターンは、金利-インフレ率です。いくら金利が10%でも、インフレ率が8%では、実質的なお金の価値は2%しか増加していません。実質金利は2%となります。

現在のグローバル化された金融市場においては、先進国の債券の実質金利は同じ水準に収斂します。

例えば、日本の名目金利が1%、インフレ率が0%、オーストラリアが名目金利5%、インフレ率3%だったとしましょう。この場合、日本の実質金利は1%、オーストラリアは2%です。

高インフレ通貨は、通貨のt価値の低下により、長期的には為替レートは下落(上の例では、円高豪ドル安)するリスクがあります。

しかし、上の例では、インフレ率勘案後の実質金利でなおオーストラリアの方が上回っているため、多くの投資家が、円建て資産を売って、豪ドル資産を購入することになります。

その結果、日本からオーストラリアへの資金の流入が増加し、オーストラリアでは資金需給が緩和され、名目金利に下落圧力がかかります。他方、日本では資金流出により資金の貸し手が減少するので、金利の上昇圧力がかかります。

この結果、日本とオーストラリアの実質金利差は縮小する方向に動きます。簡単な例でしたが、経済活動全般でこのような動きが生じて、先進国間の実質金利は、短期的には乖離しても、長期的には均衡することになります。

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※例えば、ドル円の場合、1977~2008年の日米の長期国債(10年)の利回り差は3.1%でした。米国債は7.5%で、日本国債は4.4%でした。

この間、日米のインフレ率の平均差は約3%だったので、実質金利はほぼ同じです。

過去10年程を見てみても、アメリカの長期国債の金利平均は約4%でインフレ率は約2%程度でした。日本の長期金利の平均は約1.5%でインフレ率は-0.5%程度でした。実質金利は日米ともに2%程度で一致しています。
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このように、先進国間では実質金利がほぼ等しいため、為替要因を除けば、どの国の債券に投資しても、期待リターンはほぼ同じです。

したがって、「国内債券の期待リターン=外国債券の期待リターン」の考え方は、為替変動に中立的な考え方と言えるでしょう。

これに対し、「国内債券<外国債券」の考え方は、為替レートが円安方向に振れるという予想を立てていることと同義かと思います。

もちろん、どちらの見解に立っても、外債投資に意味がなくなるわけではありません。日本のイールドカーブと海外のイールドカーブは異なっているため、その点に着目した債券運用も考えられますし、社債に投資する場合は、対国債比のスプレッド部分について、国内より海外に妙味があるケースもあるでしょう。

ただ、個人投資家の限られた資金量の中でこれをやろうとするのは、なかなか厳しいし、国内債券と比べるとコストがかかってしまうという側面はあるかもしれません。

また、分散効果もあるため、為替リスクをとりたくない場合でも、ポートフォリオにほんの少し外債を組み入れると、有効な場合もあるかもしれません。個人的には、購買力平価や過去の実質為替レート平均などのファンダメンタル上の割安性から、外債(外貨建てMMF、FXなど含む)の組み入れ比率を決めています。
 

■以下は余談ですが、これまで述べた考え方で、今の日本のデフレ構造が説明できるような気もしています。

基本的には、金利の上昇は景気に悪影響で、金利の低下は景気に好影響です。ですので、中央銀行は景気が悪くなると、金利を下げて、借金して起業したり投資したりするインセンティブを押し上げます。

日本のように不景気・低成長が続いている国は、名目金利が諸外国と比べて低い水準です。

しかし、上で述べたように、先進国の実質金利は、同じ水準に収斂します。したがって、名目金利が低い国には、金融的なデフレ圧力がかかります。

例えば、現在はオーストラリアの政策金利が3.75%で日本が0.1%です。仮に各国の実質金利が概ね2.1%だとすると、オーストラリアには1.65%程度の金融的インフレ圧力がかかり、日本には-2%程度の金融的デフレ圧力がかかると考えることもできるような気もします。

ではデフレ脱却のために名目金利を上げればいいかというと、名目金利上昇は景気に悪影響のため、そんなことはできません。しかし、名目金利が諸外国に比べて低いと、デフレ圧力がかかってしまいます。結局、デフレ脱却の特効薬はなく、難しいというのが、今の日本の状況なのかなというイメージを抱きました。

※これについては、自信はなく、こういう説明の仕方もできるかもしれないなという程度です。。

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    2010.01.21 Thu l 資産運用の考え方 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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