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前回 は、外債投資に当たっては、期待リターンの設定が重要であること(リスクと相関性は過去の平均データでOK)、100%ヘッジの外債と国内債券は、期待リターンが同じであると思うことについて述べました。

では、以下3つの債券の期待リターンは、どれが一番大きいでしょうか?

①日本国債 利率1.5%

②アメリカ国債 利率3.5%(為替ヘッジなし)

③オーストラリア国債 利率5.5%(為替ヘッジなし)

これについては、見解が分かれています。各見解を見てみます。

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■外債の期待リターン=国内債券の期待リターン

山崎元さんが、この見解にたっていると思われます。これはあまり見かけませんが、実は経済理論に忠実な考え方です。

経済理論上は、高金利通貨は、金利差の分、為替レートが下落します(円高・高金利通貨安)。

また、インフレ率勘案後の実質金利は、先進国間の実質金利は長期的には同じ水準となる傾向があります。したがって、高金利通貨の国は高インフレですが、高インフレの通貨もまた、低インフレの通貨に対して下落します(円高・高インフレ通貨安)。

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※例えば、ドル円の場合、1977~2008年の日米の長期国債(10年)の利回り差は3.1%。米国債は7.5%で、日本国債は4.4%でした。

日米の同期間のインフレ率の平均差は約3%だったので、金利差はインフレ率を反映したもの。

この期間の円高は、年平均で約3%だったので、高金利の米国債を購入したとしても、利回り差3.1%のほとんどは為替損で帳消しになりました。

過去10年程を見てみると、アメリカの長期国債の金利平均は約4%でインフレ率は約2%程度でした。日本の長期金利の平均は約1.5%でインフレ率は-0.5%程度でした。実質金利は日米ともに2%程度で一致しています。

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もちろん、この経済理論が常に当てはまるわけではありません。10年以上の長期的観点からは重要ですが、短中期的には、需給(実需や投機的トレード)が大きな影響を及ぼしています。為替取引の80~90%は投資や投機によるものと言われています。

短中期的には、高金利・高インフレ通貨が、投資マネーや投機マネーの流れに乗って上昇することはよくあります。金利低下局面では高金利通貨が売られやすくなりますが、金利上昇局面では高金利通貨が買われやすくなる傾向があるとされています。

この立場に立った場合、外債と国内債券の期待リターンは同じですが、外債は為替リスクの分リスクが高まるため、外債投資は不要(もしくはわずか)という結論になるかと思われます。

ちなみに、山崎元さんの推奨アセットアロケーションは、下記の通りです。

「まず最大の損失許容額を元に株式投資額を決定し、株式投資額を40%:60%~50%:50%の割合で、国内株式と外国株式に振り分ける。残りの資金は、個人向け国債やMRFなどの国内債券を購入する。」

■外債の期待リターン>国内債券の期待リターン

これはよく目にする考え方ですね。GPIFの期待リターンは、国内債券3.0%に対して、外国債券3.5%です。他の機関投資家も、概ね外債の期待リターンを国内債券より高く設定しているケースが多いです。

外債の期待リターンを国内債券より高く設定するというのは、経済理論上は、名目の金利差は長期的には為替レートの調整で打ち消されるとされているが、「名目の金利差のリターンをかき消すまでは、理論どおりに為替レートが円高にはならない」という為替レートの見通しを立てていることと同義かと思われます。

この見解に立つ方は、アセットアロケーションの10~30%程度を外債を保有するという結論を導いていることが多いかと思われます。

名目金利差に加え、もし為替が円安に振れることがあれば、大きなリターンを狙えることに着目し、為替リスクをとって為替差益を狙うことを志向した考え方と言えるかもしれません。

円安・高金利通貨高のトレンドにうまく乗り、売り抜けたり償還された場合は、円債より高いインカムゲインに加えて、為替差益も得られることから大きなパフォーマンスをあげることが可能です。直近では、以下の2例がありました。

①2005~2007年の円キャリートレードによる円安トレンドの際に、外債や外貨投資を行い、2007年中にポジション解消

②2009年3月~現在の新興国通貨高トレンドの際に、新興国通貨投資を行い、やがて訪れる(はず)の下落トレンドの前にポジション解消

しかし、短中期的には、投資マネーの流れに乗り、円安トレンドが進行することはよくありますが、過去の歴史上は、「高金利通貨・高インフレ通貨→為替レート下落」の理論通り、高金利通貨が急落し、円高となる「巻き戻し」が必ず発生してきました。

外債を購入した時期や為替レート次第では、高金利通貨の急落に巻き込まれ、外債投資が上手くいかなくなるリスクが伴います。

外債の期待リターン<国内債券の期待リターン

この見解は全く見かけませんが、外債の期待リターンを国内債券より低く設定するというのは、「名目の金利差以上に、為替レートが円高になる」という為替レートの見通しを立てていることと同義。 ここまでラディカルな予想を対外的に公表する機関(人)は、様々な意味でいないでしょう。「結果的に」この見解が当てはまる場合はありえますが、事前の意思決定としては、過激すぎます。

■以上、外債と国内債券の期待リターンについて概観しました。

外債>国内債券派と、外債=国内債券派の意見の相違は、価値観や考え方の方向性の差異に基づくものであり、「どちらかが正しい or どちらかが優れている」という話ではないと思います。

為替リスクを背負ってキャピタルゲインを狙うか、為替リスクを回避してキャピタルゲイン獲得の機会を見送るかであり、「リスク選好度の違い」という話かと思います。「事前の意思決定」としては、どちらも合理的。

「短中期的には高金利通貨高となる場合もあるが、長期的には高金利通貨の下落局面があり、名目金利差は帳消しになり得る」ことを認識した上で、自分が設定した外債の期待リターン、リスクや相関係数、為替相場の見通し、自己のリスク許容度や価値観に応じて、外債投資の是非を検討すればよいかと思います。

長くなってきたので、今日はここまでとします。

次回は、私自身がどのようなスタンスかについてまとめたいと思います。

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    2009.11.19 Thu l 資産運用の考え方 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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