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■永遠の名作、チャールズ・エリス著「敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか」を読み返しました。本書の内容を一言で言うと、「株式を長期保有して、手数料を出来る限り抑えて、配当や分配金は再投資するのが良い」となるかと思います。

和訳が多少拙い面がありますが、資産運用の基本が述べられており、名著ではないかと思います。今回改めて読んでみて、面白いと思った内容を要約します。

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以下、敗者のゲームの内容を要約
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<個人投資家が陥りがちな罠>
・統計的な確率を無視
・勝ちが続きだすと、それが半永久的に続くかのような錯覚に陥る。
・現実を冷静に見つめるのではなく、自分の当初の判断を補強する材料ばかり求めたがる。
・半ば思いつきで選んだ時点のデータを、将来的な判断のためのベンチマークとして使ってしまう。
・新しい情報に過剰反応する。

<株式の価値>
普通株の価格は、主として二つの要素によって決まる。一つは、将来の企業収益・配当と、その時期についての投資家のコンセンサス。二つめは、この将来の配当と収益の現在価値を計算するのに用いる利益率、すなわち割引率についての投資家のコンセンサス。

その中で最も重要なのは、考えられる投資のリスクの大きさと予想インフレ率、将来期待される配当ないし利息収入のキャッシュフローを現在価値に計算しなおすための割引率。


<株式の収益>
・平均収益率には三つの主要部分がある。
(1)実質の無リスク収益率
(2)リスクフリー収益率に対して、インフレによる購買力の予想減価分を相殺するために必要なプレミアム
(3)インフレ調整後の無リスク収益率に対して、投資家にマーケット・リスクを受け入れさせるのに必要なプレミアム(リスク・プレミアム)

・予想インフレ率の変化が収益率に及ぼす影響は非常に大きく、特に、本質的に満期という概念がない普通株にとっては大きい。

1960年の約2%から1980年の10%までの予想インフレ率の変化は、普通株に要求されている名目平均収益率を、その間、9%から17%に上昇させたが、これは株価の大幅な下落をもたらした。インフレ調整後で見ると、この間の投資家の損失は50年間で最悪のものだった。

予想インフレ率が上昇した場合、株価は、それまで期待されていた「将来の実質企業収益と配当」に基づいて、買い手に十分なリターンをもたらすと考えられる水準まで下がる。

その水準とは、インフレ率上昇の効果を相殺し、株式投資リスクをカバーし、無リスク収益率を保証するレベル。予想インフレ率が低下すれば、1982年からの20年間のように、それとは逆に株価は上昇することになる。

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<投信のパフォーマンス>
・米国投信の過去50年の平均パフォーマンス(対インデックス)
市場平均比割合
-2%以下16%
-2~0%57%
  0~2%26%
2%以上2%


・米国投信の中で市場平均を上回る投信の比率(運用期間別)
運用期間割合
1年 35%
10年 25%
25年 10%
50年 5%


<運用全般>
・投資家にとっての短期における最大のリスクは、たまたま株式市場が低迷している時に、資金の必要上、株式を売却しなければならない事態が生じること。他方、長期における最大のリスクは、インフレと慎重すぎること。

・どれ程の運用収入が必要かといった議論は、運用方針からは除外すべき。なぜなら、ポートフォリオの収益率は、投資家が増やしたいからといって増やせるものではないから。ポートフォリオの運用目的が、投資家の毎年の支出額に従って設定されるべきだというのは、奇妙この上ない考え方。

・投資終了時期の設定こそが運用成果に決定的影響力を持つ。ほとんどの場合、投資家や運用期間の運用成果を決定する最も重要な要素は、その技術ではなく、開始時期と終了時期の選択である。特筆されるような運用成果も、その期間の開始または終了を1年早めたり遅らせたりするだけで、まったくありきたりのものとなってしまう。

・自分の運用目的は何であるか、どこまで逆境に耐えられるかを確認しておく。最悪の下げ相場における絶望的な経験、しかも次に何が来るかもわからず、場合によっては更に悪化するかもしれないような状況の中で、自分がどう感じ、どう反応できるかを慎重に考えてみてほしい。

苦しい時にどこまで耐えられるか、一貫した運用をどこまで維持できるかということが、マーケット・リスクの許容水準を設定する基礎となる。決して深入りしてはならない。自分の限界を知り、その範囲内にとどまること。失敗しても耐えられる範囲のリスクに留めるべき。

・ここ数十年のデータを見る限り、PERは平均15.5%である。今後の市場環境に対して強気ならば、17~18、あるいは20であると想定してもよい。

・もしあなたが自分で選んだ人生の支払い計画に対して、貯蓄と運用によって十分な資産を確保することができたなら、まさしくマネーゲームに勝ったことになる。一度勝利を収めれば、不必要で無分別な借入れをしたり、何かに集中投資したりして、この勝利を危険に晒すようなことは絶対に避けなければならない。一度マネーゲームに勝利したら、更に対象を狙って一発勝負に出てはならない。
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■特に印象深かったのは、以下3点になります。

(1)株式の短期的な最大のリスクは、「たまたま株式市場が低迷している時に、資金の必要上、株式を売却しなければならない事態が生じること」という点です。

確かに、株式はボラティリティが高く、短期的に暴落する局面が、数年~十数年に一度は訪れると思います。たまたまそのような時期にキャッシュフローがショートし、資金繰りの観点から株式を損切りせざるを得なくなると、非常にパフォーマンスが悪化すると思います。

同書では「失敗しても耐えられる範囲のリスクに留めるべき」とも述べられていますが、やはり最大でいくら損しても我慢できるかを考えて、その範囲内で運用するのが安全かもしれません。

(2)株式はインフレに強いと言われていますが、チャールズ・エリス氏によると、過去の米国の例では、投資家の予想インフレ率が高かった時期は、インフレ率調整後の実質的なリターンで見ると、パフォーマンスが良くないようです。

(3)「投資終了時期の設定こそが運用成果に決定的影響力を持つ。ほとんどの場合、投資家や運用期間の運用成果を決定する最も重要な要素は、その技術ではなく、開始時期と終了時期の選択である」として、投資の開始時期と終了時期が重要だと述べられている点も興味深いです。

チャールズ・エリス氏はタイミング売買に非常に否定的な考えをとっていますが、その彼でさえも、投資開始のタイミングと投資終了のタイミングは極めて重要だと述べています。

「出口戦略」の重要性を再認識しました。例えば、漫然と60歳の3月に株式を売却してリタイアしようと考えていて、そのタイミングが2009年3月だったら最悪の事態となってしまいました。

リタイア目前の50~60代となると、今後得られる収入が少なくなって人的資本が減り、しかし、過去数十年にわたり築いてきた資産の金額は大きくなっている状況が一般的かと思います。

すなわち、P/L的には、その後は赤字が続きますが、それを過去の勤労や資産運用などによってB/Sに築いた純資産でカバーしていくことになります。

このような状況だと、純資産の毀損は大きな影響が出ます。例えば、同じ20%の損失でも、30歳の時に500万が400万になるのと、60歳の時に5000万が4000万になるのは、人生に及ぼす影響は大きく異なってくるでしょう。

21世紀に入り、既に数々のバブルとバブル崩壊がありました。ITバブル、(日本の)新興市場バブル、REITバブル、中国株バブル、原油バブル、サブプライムバブル・・・。

ほぼ何年かに1回はバブル発生と崩壊が起こっています。21世紀は、世界的な投機マネーによって肥大化した過剰流動性や、金融技術の高度化により、「バブル頻発の時代」となったかもしれません。

リタイアが近づいてきている時、思いもよらぬバブル崩壊や金融危機に巻き込まれて資産を目減りさせないためにも、50~60代くらいの年代になったら、出口戦略について検討しようと思いました。

もちろん、それまでは長期運用を心掛け、株式や不動産を安値で損切りするような事態に陥らないために、自己のリスク許容度の範囲内でリスク性資産への投資を行いたいと思っています。

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    2010.03.12 Fri l 資産運用の考え方 l コメント (1) トラックバック (0) l top
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