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1万円札

2012年末以降大きく円安が進んだことから、円資産の価値が下がっているという主張をよく見かけるようになりました。1ドル80円から1ドル100円になり25%円安になったので、円資産の価値は25%下がっているという意見です。この考え方は正しいのでしょうか?正しいとなると、為替レートの変動に備えて誰もがかなりの外貨を持つべきことになります。

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為替レート程には通貨の実質価値は動かない。

そもそも論として、通貨の根源的な価値が何かというと購買力です。円などの通貨はモノを買ったりサービスを享受したりする際に、決済するための価値交換媒体に過ぎません。交換で受け取ってくれる他者が多数存在するからこそ、価値があるものです。1万円札の製造原価は約20円であり、人々の信頼がなくなったら、単なる紙屑になります。

つまり、円の実質価値は為替レートの変動ではなく、購買力の変動に左右されます。いくら為替レートが25%変動したところで、同じ金額で以前と同じモノ・サービスを購入できるのであれば、円の実質価値は変わりません。

為替レートが購買力にどのような影響が出るのかというと、円高に動くと購買力は増し(物価は下がり)、円安に動くと購買力は減少する(物価が上がる)のが基本です。円安に動くとエネルギー・原料・食料・その他輸入品の価格が上昇するためです。

しかし、為替レート程には物価は動きません。すなわち、為替レートの変動ほどには円の購買力は変動しません。

2007年の1ドル124.16円から、2011年の1ドル75.55円まで約39%も円高になりましたが、この間、物価は約39%下落していません。ごく僅かな下落が続いただけです。

2011年の1ドル75.55円から2014年1月の1ドル105.44円まで約40%円安になりましたが、この間、物価は約40%上昇していません。若干上昇しただけです。2013年は20%円安になりましたが、やっとインフレ率が+1%になっただけです。

日本のような成熟した経済大国では、為替レート程には通貨の購買力は動かないのです。円建てコストと外貨建てコストの存在、為替ヘッジ、企業努力、国産品への代替など、企業の経済活動によって、経済には諸々のバッファーが生じ、為替レートほどには、消費者物価は変動しません。為替レートとインフレ率の推移を比べたら明らかです。

特に日本は為替レートの変動が消費者物価に及ぼす影響は低めです。日本では中間投入コストに占める輸入財の比率が低いこと、消費財の商業・運輸マージン率が高いこと、家計消費に占める輸入財の比率が低いことが要因として挙げられています。

為替レートの変化に対する消費者物価の弾性値は、ドイツ・アメリカ・フィンランド・ノルウェーなどと並んで世界最低水準です。

だからこそ、これだけ円安に賛成する人が多いわけです。円換算の企業利益が増幅しますが、その割に物価は上がらないので、国民の購買力はあまり減らずに企業の利益が増加して税収も上がり給与等も上がることが期待できるため、経済全体で見ればいいわけです。

したがって、個人的には「25%円安になったから円資産は実質25%減った」というのは誤りだと思います。外貨建て資産を持たないと円資産の価値が減るという脅迫じみた言論を真に受ける必要はありません。

今後も日本で暮らしていくことを前提にするならば、「円安による円の実質価値の目減りを防ぐ」という円安リスクヘッジだけならば、外貨建て資産の保有割合は5~10%程度で問題ないと思います。

米ドル


収入と消費、資産と消費の通貨のマッチングが重要

以上の議論は、今後も日本で暮らして円建ての収入を得て、円建てで消費することが前提です。例えば、近い将来海外に移住する予定ならば、円安は大きな打撃です。例えば来年リタイアで米国に移住する予定だが、現在は100%円資産なら、この1年間で資産をドル建てにすると20%目減りしてしまったことになります。

また、「海外に在住しているが、ネットで日本人相手にビジネスをしていて、報酬は円建てで受け取っている」という方(グローバル・ノマド)も、円安は大きな打撃です。例えばハワイで暮らして生活費はドル建てだが、収入はネット経由で円建てだと、20%の円安は単純に収入が20%減ってしまったのと同じ効果となります。

こういう方々は積極的に資産を外貨建てにするのが望ましいでしょう。資産を円建てにしたままだと、為替レートの変動が直撃します。ハワイ在住ならドル建て資産を中心にすべきです。

銀行や保険会社などの金融機関で用いられるリスク管理手法として「ALM」があります。マーケットの変動に対する資産・負債の価値変動を管理して、資産と負債の価値変動を一致させ、経済価値・純資産の変動を抑えて経営を安定化させることを目的にしています。

ALMの観点では、資産と負債(将来の支出の割引現在価値)の通貨をマッチングさせることが重要です。今後も日本に居住し続けるのであれば、資産・収入の中心は円です。今後は米国で居住するならばドルが、豪州で居住するならば豪ドルが中心になります。

もっとも、日本で住み続ける場合でも、今後は円安になるという相場観のもとで、外貨建て資産の割合をかなり上げるという考え方も勿論あります。それは個人の判断になります。

一般論としては、資産が増えれば増えるほど、リスク許容度が高まり、また通貨の分散もした方がよくなるでしょう。例えば65歳・金融資産3億円の人の場合は、外貨建て資産の比率がかなり高くても全く問題はないでしょう。

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    2014.01.13 Mon l 為替・外債・FX l コメント (2) トラックバック (0) l top
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