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道

今週はFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合がありました。日本と米国、日銀とFRB、それぞれの道について考えたことをまとめました。伝統的金融政策と非伝統的金融政策の性質、マネタリーベースとマネーストックの関係を考慮すると、FRBの決定のロジックの正しさが見えてきます。

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FRBの道

FRBがQE3縮小を決定し、バーナンキ議長は2014年末までに資産買い入れを終了する可能性を示唆しましたね。また、失業率が6.5%を下回ってからも「かなりの間」(well past the time)、インフレ見通しが2%を下回る状況が続く場合は、政策金利を0~0.25%に維持することが「適切になる公算が大きい」(likely will be appropriate)と表明してこれまでのスタンスを修正しました。

さらに、銀行の超過準備に対する付利の引下げも可能との認識も示しました。経済が再び悪化すれば新たな措置を講じる可能性についても言及しました。

一言でいうと、「量的緩和に象徴される非伝統的金融政策は縮小・停止、伝統的金融政策における低金利の維持は長期化」です。

これは極めて妥当な線だと思います。金利の上げ下げが経済に与える影響は確実であり大きいのに対して、非伝統的金融政策の影響は不明確でコストが大きい側面があります。

流動性危機で金融市場が凍りついている時や、金融市場が壊れて価格が麻痺してリスク・プレミアムが不条理に拡大して経済に悪影響が出ている時などは、非伝統的金融政策は大きな役割があります。

しかし、バーナンキが幾度と無く述べているように、非伝統的金融政策が平常時の経済活動・物価上昇に及ぼす効果は不明確であり、実施に伴うコストは、伝統的政策のコストを超えます。また、より広範でバランスがとれた経済政策によって達成できることを、金融政策のみでは達成できないという限界があります。

したがって、「効果が不確かでコストが大きい非伝統的金融緩和は縮小、効果が高い低金利の維持は長期化」というFRBの決定は良い方向だと思います。


量的緩和の効果、マネタリーベースとマネーストック

貨幣乗数(信用乗数)は一定してなく、マネタリーベース(中央銀行の通貨供給量)を拡大してもマネーストック(金融機関から経済全体に供給されている通貨の総量)は同じように拡大しません。信用乗数とは、マネタリーベース1単位に対し、何単位のマネーストックを作り出すことができるかを示す指標です。

信用乗数は、金融機関が融資などによって新たな預金を生み出し、それがまた新たな融資に繋がる「金融機関の信用創造機能」によって、経済に必要な資金がどの程度効率的に市中に供給されているかを反映するものです。この信用乗数は、量的緩和政策を実施すると低下します。

論より証拠ですね。日本のマネタリーベースとマネーストックの関係の図を作成しました。

マネタリーベースとマネーストックのグラフ

このグラフを見れば一目瞭然ですが、量的緩和時期や縮小期にはマネタリーベースは激しく動きますが、マネーストックはほとんど動きません。

回帰分析をしてみると、マネタリーベースが1動くと、マネーストックは0.0812動いています。決定係数はたったの0.0433です。決定係数は一般的に0.5以上であれば十分な精度です。

マネタリーベースとマネーストックの散布図

つまり、量的緩和でマネタリーベースを拡大しても、信用乗数が低下することでマネーストックにはほとんど影響しないと言えます。マネーストックの変動はマネタリーベース以外の要因が大きいと思われます。

もっとも、「マネタリーベースを増やせばマネーストックがわずかでも増えるように見えるような気もしなくもないからとにかく増やすべき」という考え方もあるでしょう。


日銀の道

日銀は金融政策決定会合で、マネタリーベースを年間60~70兆円増やす質的・量的金融緩和(QQE)の継続を決定しました。また、黒田日銀総裁はQQEがオープンエンド型であることを明確化しました。

これ以上の国債の買い入れ額を拡大するには尋常ではない財政政策を打たなければフィージビリティの観点で厳しいですし、量の面でインパクトを与えるは難しいと思われます。

また、黒田総裁は「買い入れ額や保有額は弾力的に運用しているが、現在のペースが変わるとは思っていない」、「(中央銀行が保有する国債のストックが重要か、毎月買い入れるフローが重要かについて)ストックが重要というのは学者がおっしゃることと同じ」と述べました。

「学者がおっしゃることと同じ」は正確には「一部の学者がおっしゃることと同じ」だと思いますが、それはともかくとしてこれ以上フローを増やすことを強調しない点についてはいいと思います。

これ以上国債の買入を増やすとなると、更なる国債の増発・禁断の完全なる財政ファイナンスへの突入が必要となってくるでしょう。

個人的にはそれは避けて、オープンエンドで金融緩和を続け、膨張する社会保障費を増税なしで日銀の国債購入でファイナンスする方向が望ましいと思います。インフレ率が上がり過ぎない限りはそれが可能になります。

もし何が何でも早期に2%達成ということで追加で財政支出・国債買い入れをするなら、法人税廃止・所得税減税・消費税増税ストップを行い、国債の増発と組み合わせるが望ましいと思います。公共事業・国土強靭化などの打ち上げ花火ではなく、着実な国力強靭化の効果があると思います。

戦略特区での規制緩和で外資企業を呼び込もうとしているようですが、色々やらなくても法人税をゼロにするだけで、多くの企業が次々に我先にと日本詣でに来ると思います。

もっとも、あらゆる企業に公平に恩恵がある法人税廃止は、官僚の天下り先を作れませんし、政治家の票にも直接結びつかないので、官僚や政治家にとって美味しくないので採用は難しいでしょう。国税庁の仕事が減って税務署員の仕事がなくなってしまうため、財務省は猛反対するでしょう。

廃止まで踏め込めないなら、消費税8%・法人税8%・所得税8%の8%フラットあたりでどうでしょうか。米国の前回の大統領選挙の共和党の予備選の候補者で9%フラットを唱えていた人がいましたね。

現実的に追加緩和で米国債・MBS買入の方が、可能性は高い気がします。インパクト・異次元感があり、為替レートへの働きかけが可能になるため望ましいと思います。ただ、諸外国との調整が必要です。米国の金利上昇が止まらなくなったら可能性が出てくると思います。

日本が「財政破綻寸前で消費税増税が必要」と宣伝されているにもかかわらず、欧州が困ったニャということで、2012年にEFSFへ大量の資金供与をしたのと同じような話です。

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    2013.12.22 Sun l 経済・社会・金融動向 l コメント (2) トラックバック (0) l top
    コメント
    さすがでございます!
    経済や金融に関する素人には、マクロ経済についてここまで言及するのは非常に難しいので、プロとして?見事に文章化するまつのすけさんの記事はホント勉強になります!
    2013.12.23 Mon l 虫とり小僧. URL l 編集
    Re: さすがでございます!
    嬉しいコメントありがとうございます!^^
    2013.12.23 Mon l まつのすけ. URL l 編集
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