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日銀の黒田総裁の最近のコメントには、「金融緩和はインフレ率2%になるまで必要なだけ継続する」、「現在提示されているマネタリーベースや国債保有額は、現在の政策のもとでそれぞれの時点に実現する見通しであり、政策運営についての何らかの期限を示したものではない」旨のものがありました。何が何でも2年で達成という姿勢が消極的になってきました。そのインプリケーションは何か。

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日本は長期に渡って金融緩和が続く公算

最近の黒田日銀総裁のコメントは、質的・量的金融緩和が米国のQE3と同様に解除時期を規定しないオープンエンド型であることを明確化したという解釈が有力になっています。

これによるインプリケーションは、金融緩和の長期化だと思います。これには賛成です。以前に述べたように、2年で2%と期限を区切らずにインフレ率が上昇しない限りデフレ脱却の大義名分の下で長期に渡って金融緩和するのが望ましいと思います。

日本と日銀に出口は訪れない。

インフレ率が上がらない限りは、増税せずに膨張する歳出・社会保障費を金融緩和でファイナンスすることが可能になります。現時点では、日本はインフレ・通貨安が深刻ではなく、資本逃避が起きにくい経済構造であることからです。

どんな劇薬で副作用が懸念されようが、何が何でも2年で達成するために狂ったような策を打ち出して暴走するよりは、オープンエンドで金融緩和する方がいいと思います。

消費税増税など財政規律も配慮しているところを見ると、国債の買い入れペースを今以上に拡大するのは難しいため、追加緩和があるとなると、米国債や米国のMBS中心になると思います。


出口戦略は困難を極める

問題はインフレ率の上昇が止まらなくなった時の出口です。出口戦略の選択肢としては、(1)超過準備の付利水準引き上げ、(2)自己宛ての有利子手形の売りオペ、(3)保有国債の償還待ち、(4)保有長期国債の売りオペ、(5)法定準備率の大幅な引き上げなどが挙げられています。

(1)と(2)は短期金利の利上げとなり、日銀・国の利払負担が増加します。それに財政状況が耐えられる状態なら問題ありませんが、そうでないなら増税等でファイナンスする必要が生じます。当然に景気には悪影響です。

(4)は日銀当座預金を削減することになり、長期金利が大幅に上昇するリスクが有ります。そうなると経済に大きな悪影響が及び、日銀の保有長期債は実現損になり、金融機関が保有している長期債の含み損は拡大します。状況によっては金融危機的な状況になる恐れもあります。

(5)は今は付利がついている超過準備を金利ゼロの法定準備に移し替えることになり、強制的にゼロ金利の資産を金融機関に保有させることになり、金融抑圧になります。与信を抑えようとするため、信用が引き締まり、景気に大きな悪影響が出るでしょう。

日本は債務残高が巨額であり、短期国債での調達比率が高くて借換債の名目GDP比が50%を超えています。金利が上昇が止まらなくなると、速いペースで利払い費が急増してしまいます。

仮にインフレ率の上昇が止まらなくなったとしても、現実問題としては、(3)の保有国債の償還待ちが選択される気がします。ある程度インフレを放置せざるを得なくなる状況です。(1)~(2)もあり得ますが、それが政治的に選択されるかどうかですね。

インフレ率2%の印籠は放棄せざるを得なくなり、長期金利の低位安定が政策目標となり、マイナスの実質金利(名目金利<インフレ率)で公的債務の安定化を図る金融抑圧に転じるような気がします。


金融抑圧への道

米国では第2次世界大戦前後の一定期間、1年金利をゼロ近辺に固定して長期金利に2.5%の上限を設ける政策を採っていました。これと同じような政策が将来的に日本に訪れる可能性があると思います。

日本では歳出削減や増税は困難を極める難業であり、世論はインフレに寛容なようですので、インフレ税によって債務の実質的な削減・財政の安定化を図る道に至っています。米資産運用会社ダブルライン・キャピタルCEOの言葉を再掲します。

「高いインフレ目標を掲げる政治を消費者が望んで受け入れる国は、世界を見渡しても日本以外に見当たらない。もはや通貨安しか道が残っていないとも言える。財政の穴埋めが止まらなくなり、人々の行動が変わってしまったら、インフレの抑止は困難になる。」

「日本国債のデフォルトはないだろう。インフレの本質はスローモーションのデフォルトだ。年率7%のインフレが続けば、今の100円は10年後に半分に価値が目減りする。政府の実質的な債務負担も半分になる。安易な道だ。犠牲になるのは市民の購買力だ。」


インフレ率の安定を達成できるかどうか

インフレ率の上昇が加速しなければ、うまく出口に辿り着けます。QQEをストップして日銀の保有国債の償還を徐々に待ってバランスシートを縮小させていけます。

今後の日本経済の最大の課題はインフレ率を2%±1%程度で安定させることです。インフレ率が上がらない限りはオープンエンドで金融緩和が可能であり、景気刺激と国債のファイナンスが可能です。インフレ率が4%・5%とどんどん上がっていってしまった場合は困難を極める状況に追い込まれます。

私たち一般人への影響としては、一定以上の資産を保有している場合(失うものがある場合)は、インフレになっても問題ないような資産クラスを一定程度保有しておくことが今後数十年スパンでは重要だと思います。「不動産未保有&金融資産100%預金」は個人的には不安な状況です。

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    2013.12.15 Sun l 経済・社会・金融動向 l コメント (6) トラックバック (0) l top
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