TOP > ARCHIVE - 2010年09月

■円高が進んでおり、このまま円高が進むと輸出企業を中心に業績への影響も懸念されています。そうしたことから、マスコミなどから「為替介入しろ」の大合唱が巻き起こっています。

しかし、為替介入は非常に難しいオペレーションであり、費用対効果や副作用の観点からは、難しい側面があると思います。個人的には、為替介入については、堀古さんと同じ意見です。

口先介入も、非不胎化介入も、為替介入は愚策

東京銀行(現三菱東京UFJ)のドル円為替ディーラーをなさっていた堀古さんがおっしゃるように、為替市場の厚みは強靭であり、ちょっとやそっとの介入では効果がないという意見がプロの間では多い印象があります。

統計物理学・経済物理学の第一人者である高安秀樹氏の著書、「経済物理学の発見」 においても、「1兆円の為替介入を行うと、およそ1時間の間に為替レートが1円程度動く。介入の後は、揺らぎが多少大きくなることを除くと、ほぼ元通りの値動きとなり、介入の効果は一時的でしかない」旨の記述があります。

今は当時と比べて、為替市場の出来高は3倍以上になっているので、介入の効果はより一層少なくなっているでしょう。

中途半端な単独介入では、ヘッジファンドの標的にされる恐れもありますし、日本の輸出企業がこっそり売りをぶつけてくる危険すらあります。

日本が過去に為替介入を行ってきた結果として、現在30兆円の損失が出ています。およそ税収1年弱の損失が出ています。為替介入を行っていなかったら、例えば、今後4年間に渡って、税率を25%OFFにする経済対策を打つこともできました。

為替介入が効果を発揮する場合は、「明らかに円高が行き過ぎている」ということが、マーケット参加者の共通認識になっており、何かのきっかけでドル円が崩れ始めたら、多くの参加者が一斉に逃げる体勢になっている時だと思います。

いわば市場参加者の多くがチキンレースを走っており、トレンドが続いている限りはついていくが、トレンド終焉の気配が見え始めたら、一斉にチキンレースから降りる状況のときです。

このような状況では、トレンド転換のきっかけのイベントして、為替介入が有効であると思います。例えば、1995年の介入です。

この点、今はどうかというと、米国の期待インフレ率は約2%で日本の期待インフレ率は約-1%です。現在の金利は、日本は短期0.1%・長期1.1%であり、米国は短期0.25%・長期2.7%です。

実質金利で言うと、日本は短期1.1%・長期2.1%であり、米国は短期-1.75%・長期0.7%です。実質金利では日本円は高金利通貨であり、金融引き締め的であり、これは短期的な円高要因です。

また、欧米ともに自国の通貨安を志向している状況です。

以上を勘案すると、為替介入が効く局面であるかは、議論があるでしょう。

2010.09.08 Wed l 経済・社会・金融動向 l コメント (5) トラックバック (0) l top

■8月の売買

<売却>
三井物産

<購入>
TOPIX-ETF
eMAXIS先進国株式
SBI債

7月に短期トレード目的で購入した三井物産を売却し、TOPIX-ETFとeMAXIS先進国株式を購入しました。

株価下落で資産配分も落ち着いてきたので、8月は貯蓄の一部を株式に回しました。

SBI債は、「財務諸表を見ると危なっかしさはあるけど、1年なら大丈夫かな。大型増資は約10倍の倍率、海外機関投資家に限っては20倍超の需要だったと言うし・・・」と思って買いました。

リスクを考慮すると微妙かもしれませんが、リスクフリーレート(定期預金)比で1.36%のリスクプレミアムに惹かれてしまいました。

まず想定しづらい価格でのオプションの売り方になった気分です。社債は、「ほとんどの場合には利益が出るが、“万が一”にぶち当たってしまった場合はダメージがでかい」という点で、CDSの売りやオプションの売りと同じような性質があると思います。

2010.09.05 Sun l マーケット雑感・運用状況 l コメント (0) トラックバック (0) l top
前々回前回 と「通貨高は、その通貨圏で暮らす人にとっては、国内外を問わず株式運用一般にマイナス。通貨安は逆にプラス」、「実効為替レートと購買力平価は、長期的には無視できないため、特にまとまった金額を株式や外債に投入する際は見ておいて損はない」旨のことを述べました。

個人的には「金利平価や為替変動を考慮すると、高金利通貨が必ずしも有利ではない」、「外債クラスは国内債券に比べてリスクが高い」などの理由で外債投資に消極的なのですが、この円高対策もあります。外債も円高には弱いため、円高時は国内外の株式に加えて、外債もパフォーマンスが悪化しがちです。

しかも、現時点では、不況時には内外金利差縮小やリスク回避の観点で円が買われる傾向にあり、2007年以降のような世界的景気後退期には、日本株安・外国株安・外債安のトリプルショックになりがちです。

長期債であれば、金利低下による価格上昇がありますが、FXや外貨MMFだと悲惨です。

2010.09.03 Fri l 資産運用の考え方 l コメント (1) トラックバック (0) l top
前回は、「通貨高は、その通貨圏で暮らす人にとっては、国内外を問わず株式運用一般にマイナス。通貨安は逆にプラス」旨のことを述べました。グラフを再掲します。

<TOPIXとS&P500>
The Goal


<TOPIXとS&P500(円建て)>
The Goal


<日米相対株価(TOPIX÷S&P500)>
※上にいく程、日本株が米国株に比べて強い状況
※下は、S&P500が円建て
The Goal

■では、それを前提として「一個人としてはどうすればいいのか」について、個人的考えをまとめます。

理想的には、今後為替レートはどう動くかを予測することですが、それはごく一部の天才トレーダー以外には不可能です。誰にでもできることは、実質実効為替レートや購買力平価に比べて、現実の為替レートが極端に円安になったり、円高になったりした場合は、資産配分を検討することだと思います。

2010.09.01 Wed l 資産運用の考え方 l コメント (0) トラックバック (0) l top